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[「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」を読む ~経済産業省 海外M&A研究会報告書より]

(2018/09/12)

【第8回】行動7 自社の強み・哲学を伝える努力

平野 樹(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 コンサルタント)
  前回の行動6(買収先の「見える化」の徹底(「任せて任さず」))の中で、「見える化」の手段の一つとして価値観によるガバナンスをご紹介した。今回の行動7は上記のポイントとも関連する内容となる。

ソフト面の統合

  PMIにおいては、ガバナンス体制の整備、業務プロセスやシステムの統合、シナジーのモニタリングなど、買い手が目指す成長戦略を実現するための様々な施策がある。これらに比べると価値観の共有というソフト面の統合はM&Aの成果との相関関係を測ることが困難で、施策として具体化されにくいとされている節もある。しかし、実際に事業を動かす買収先従業員のモチベーションを高めるために、買い手がどのような企業理念や経営方針の下に行動しているのか、同じ企業グループの立場として、言葉と行動を尽くして共有することの意義は大きい。「心が変われば行動が変わる」で始まる有名な言葉があるように、M&Aという大きな変化を受け入れるためには必要なプロセスである。

  企業の価値観(企業文化や企業風土とも呼ばれる)を形作る要素にはどのようなものがあるだろうか。

- ミッション・ビジョン
- 組織構造(中央集権的か権限委譲が進んでいるか/上下関係が厳格かフラットか)
- 意思決定の方法・スピード(多数の関与者を巻き込む意思決定プロセスかトップダウン的か)
- 評価制度(年功序列か成果主義か)

など、多角的な要素の組合せで各社の価値観が構築される。

  そしてM&Aでは、買い手は自社の価値観を買収先に融合するのか、融合せず買収先の文化を最大限そのまま活かすのか、融合するならばどのような手段で行っていくのかを考えることになる。買い手の価値観を深く融合することが全てのケースにおいて最善とはいえないが、海外M&A成功企業の実に8割近くが「買収先に自社の企業文化や価値観を共有し、それによって買収先の行動様式に変化が見られた」と回答していることからも、海外M&Aにおける本プロセスの重要性が窺える。

(図表1) 買収先に対する企業文化・価値観の共有



  買い手にとって、買収先がどのような強みをもって自社の戦略ストーリー実現に寄与できるかはもちろん重要である。が、同時に買われる会社の従業員としても、買い手が自分達に何を提供してくれるのかは大きな関心事項となる。このコミュニケーション無くしては、買収先の理解や自発的な協力を得ることは難しいだろう。

どのように相互理解を深めるか

  価値観というソフト面の変化は一朝一夕に受け入れられるものではなく、またその効果を…



デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

■筆者略歴
平野 樹(ひらの・いつき)
日系コンサルティング会社を経て現職。
日本企業による海外企業買収にかかわるM&A/PMI、海外企業によるグローバルM&Aにおける日本国内の統合などを主に経験。
経済産業省「我が国企業による海外M&A研究会」事務局を担当。


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