[特集インタビュー]

2020年5月号 307号

(2020/04/15)

【佐山展生 インテグラル代表取締役パートナー、スカイマーク取締役会長が語る】「新型コロナの逆風下、スカイマークは無借金の財務基盤をテコに日本一を目指す」

――定時運航率連続日本NO.1を達成、成長戦略実現のためのM&Aも

佐山 展生(インテグラル 代表取締役パートナー、スカイマーク 取締役会長)
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佐山 展生(さやま・のぶお)

佐山 展生(さやま・のぶお)

1976年京都大学工学部高分子化学科卒。94年ニューヨーク大学MBA取得。99年東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了(学術博士)。76年帝人においてポリエステルの重合に関する製造・生産技術開発および新製品の研究開発に従事。87年三井銀行(現・三井住友銀行)入社、M&Aアドバイザリー業務担当(90年~95年ニューヨークで米州部M&Aチームの統括。その後、M&A専門部の企業情報部部長)。98年代表取締役パートナーとしてユニゾン・キャピタルを共同設立、東ハト、キリウなどへ出資。2004年GCAを共同設立し代表取締役パートナー就任。05年メザニン代表取締役就任。07年インテグラル共同設立し、取締役パートナー就任、08年同 代表取締役パートナー(現任)。15年スカイマーク代表取締役会長、19年同 取締役会長。また、04年一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授、05年同教授、18年同経営管理研究科客員教授(現任)、09年京都大学経営管理大学院客員教授(現任)。19年京都大学大学院総合生存学館特任教授(現任)。

15年9月、スカイマークの新体制がスタート

 東証1部上場で国内第3位の航空会社スカイマークは、1996年航空業界で国内初の新規参入として設立された。格安料金を武器に業容を広げたが、大型機材購入をめぐって経営危機に陥り、15年1月28日、自力での経営再建を断念し、民事再生法を申請、3月1日付で上場廃止となった。このスカイマークの再建に名乗りを上げたのは独立系プライベートエクイティ(PE)ファンドのインテグラルのほか、ANAホールディングス(HD)、日本政策投資銀行(DBJ)、三井住友銀行(SMBC)。15年9月から元DBJ常務の市江正彦氏が社長、インテグラルの佐山展生代表取締役パートナーが会長に就任、ANAHDから整備担当など2人が取締役に就き、スカイマークの新体制がスタートした。

【スカイマーク 民事再生手続きの推移】
2014年11月21日スカイマーク JALに経営支援を要請 コードシェア*検討
12月9日インテグラル スカイマーク西久保社長(当時)訪問
12月10日スカイマーク ANAにも経営支援要請 コードシェア検討
2015年1月5日スカイマーク ANAと単独交渉
1月13日スカイマークとANA提携交渉決裂
1月23日スカイマークとインテグラル 幹部の電話会議
1月26日インテグラル投資委員会にてスポンサー契約決議
1月27日インテグラル 申立代理人弁護士事務所訪問
1月28日東京地裁に民事再生申立
2月4日債権者説明会。民事再生開始(インテグラル90億円の融資枠設定)
3月1日東京証券取引所(第一部)上場廃止
5月29日インテグラル、ANAホールディングス、DBJ、SMBC株主間契約締結
同日イントレピッドから別再生案提出
8月5日東京地裁にて債権者集会→インテグラルとANAを軸とした案を採択
9月29日各スポンサーより出資金振込み、新体制発足
2016年3月28日民事再生終結

*コードシェア(共同運航)

 その後のスカイマークの再生は順調に進み、18年7月に国土交通省が公表した17年上度の定時運航率(出発予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合)と欠航率(運航予定便数に対する欠航便の割合)で、スカイマークは定時運航率93.06%で国内航空会社12社中1位を獲得。また、欠航率も0.59%で、もっとも欠航しにくい航空会社としても1位になるなど、航空会社としての信頼性でもトップの実績を獲得するまでになった。さらに、18年度の定時運航率でも93.91%を記録し、12社中第1位と2年連続で第1位、また欠航率も1.15%で第1位を達成している。


中期計画の目標をクリア

 業績面でも順調な伸びを示し、17年3月期通期決算は、純利益が67億7500万円(16年3月期は392億5200万円の純損失)となり、13年3月期以来、4期ぶりに通期で黒字を実現した。中期目標として、19年3月期に売上高800憶円、営業利益70億円超を掲げたが、19年3月期決算の売上高(事業収益)は、882億円となり、前期の828億円に較べて6.5%増となり、破綻前の14年3月期の売上高859億円を超えて過去最高を記録。営業利益は72億円(前期比0.7%増)、当期純利益でも過去最高だった12年3月期の77億円を抜いて91億円(前期比30%増)を計上して、4期連続で増収増益を達成して中期目標もクリアした。航空会社としての信頼性獲得と好業績を背景に、19年10月には東京証券取引所に上場申請を行うまでになったスカイマークだが、中国に端を発する新型コロナウイルスのパンデミックによって、世界はリーマンショック以上の苦境に直面している。この未曽有の経営リスクの中で、スカイマークをどう舵取りするのか、佐山展生会長に聞いた。

<インタビュー>
リスクに強い会社が生き残る。M&Aはいつも考えている

 佐山 展生(インテグラル代表取締役パートナー、スカイマーク 取締役会長)

2年連続定時運航率日本一

―― 足元、新型コロナウイルスで世界経済が大きな打撃を被っています。航空会社も例外ではありません。この逆風下でスカイマークをどのように舵取りしていかれるのか、佐山会長にズバリお聞きしたいと思います。

 スカイマークは、2015年9月からインテグラルなどの主導の下で再生に取り組み、17年3月期には4期ぶりに通期で黒字となり、19年3月期決算では4期連続で増収増益を記録するとともに、過去最高の売上高859億円を達成しました。こうした好業績を背景に、19年10月には東京証券取引所に上場申請を行うまでになりました。まず、スカイマーク再生のプロセスからお聞かせください。

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