[地域金融機関に聞く「M&Aによる地域活性化の現場」]

(2019/05/14)

【第2回】北洋銀行 ソリューション部

聞き手:日本政策投資銀行 企業戦略部
  • 無料会員
  • A,B,C,EXコース
foto
北洋銀行 ソリューション部

 地域金融機関に聞く「M&Aによる地域活性化の現場」。第2回では、北洋銀行を訪問し、同行ソリューション部の権平宗中(ごんだいら むねのり)管理役と同部M&Aチームの宮崎俊輔(みやざき しゅんすけ)調査役にお話しをうかがいました。

  北洋銀行では、メインバンク取引社数が全国第1位という強固な顧客ネットワークを背景に、金融仲介機能の強化と地域の課題解決に向けた重要な取り組みのひとつとしてM&A業務を位置づけており、事業承継問題への意識の高まり等もあいまって、最近ではその取扱件数を飛躍的に増加させています。

  M&A部門だけではなく、銀行をあげてM&Aの知識を有する行員を数多く育成するなどの施策に取り組んだ結果、顧客ネットワークの最前線である各営業店にM&Aの知識と意識を持つ行員が数多く配置される体制が構築されており、それを更なるM&A業務の拡大につなげています。

1.M&A業務の戦略的・組織的位置づけ

  北洋銀行の中期経営計画『共創』(2017年4月~2020年3月)における基本戦略のひとつとして「事業性評価と地域創生に向けた主体的な取組みの強化」が掲げられています。「道内企業向け金融仲介機能の強化」、「北海道の強みの実現と課題解決サポート」、「多彩なソリューション提供」といった施策を織り交ぜながら、企業のライフステージに応じてFace to Faceで成長分野支援や事業承継・M&A支援などのサービスを提供することを通じて、顧客企業と北海道の成長を実現することを目指しています。

左が権平管理役、右が宮崎調査役

左が権平管理役、右が宮崎調査役

  「信用調査機関によれば、道内企業のおよそ75%が後継者問題を抱えているという状況であり、地域の雇用を守るという意味からもM&Aニーズの大きさを感じています。これまでは、お取引先企業の役に立つことを目的にM&A業務に取り組んできましたが、足下の金融環境なども踏まえ、2019年3月期からは企業の役に立つことに加え、業務として収益を確保することにも力を入れ始めています」(権平管理役)

  事業承継ニーズの高まり等を受け、同行に寄せられる相談件数はここ数年で飛躍的に増加しており、こうした業務状況を踏まえ、M&Aチームの業績管理についても、件数中心から収益を重視する内容に転換が図られています。

  北洋銀行のM&A支援は、2000年に業務推進部(当時)で業務をスタートしていますが、現在は、現中期経営計画に基づき「ソリューションワンストップ化による複合提案力向上」を目的に実施された本部組織の見直しにより、法人向けソリューション業務を総合的に担う部署として設置されたソリューション部の中で、「M&A・事業承継チーム」が担当しています。

2.M&A業務の体制・体制構築までの道程

(1)M&Aの業務体制

  北洋銀行のM&A・事業承継チームは、権平管理役をトップに総勢8名からなり、このうち2名を提携先のアドバイザリーファームより出向として受け入れています。この他、M&A業務に関するスキル習得のため、2名の行員をアドバイザリーファームや監査法人系コンサルティング会社に派遣しています。

  2000年のM&A業務立ち上げ時から、北洋銀行では外部パートナーを活用せず、一貫して単独でのサービス提供を行ってきていましたが、「案件増加のスピードが想定以上に速く、とても当行単独では対応しきれない状況」(宮崎調査役)というほどの相談が寄せられていることから、近年、外部提携先からM&A・事業承継チームに出向者を受け入れるとともに、案件遂行においても提携先との協働を進めながら、増加するM&Aニーズに対応する体制を構築しています。

  北洋銀行プロパーのメンバーは、外部のアドバイザリーファームなどへの出向経験を経てM&Aチームに配属されており、4~5年程度は同チームで活躍する体制が取られています。M&Aチームで経験を積んだメンバーが営業店で渉外業務等を行い、また再びM&Aチームに戻ってくるという行内におけるM&A業務経験者のローテーションサイクルもでき始めています。



(2)案件状況と営業推進体制

  足下の受託件数は


続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

関連記事

バックナンバー

おすすめ記事

スキルアップ講座 M&A用語 マールオンライン コンテンツ一覧 MARR Online 活用ガイド

アクセスランキング