[Webマール]

(2024/03/08)

株価回復にみる「組織再編」の成果――日経平均除外銘柄の「その後」の分析

前田 昌孝(マーケットエッセンシャル主筆、元日経新聞編集委員)
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日経平均を構成する225銘柄のこの約34年間を分析すると、指数から除外されている118銘柄のうち、現在は上場していない銘柄が61あることが分かる。61銘柄のうち、M&Aの実施に伴って上場廃止が決まり日経平均から除外されたり、日経平均から除外された後にM&Aが実施されて上場が廃止されたりした企業は56銘柄ある。この56銘柄を分析すると、組織再編によって株価が右肩上がりに転じた企業は多かったと言える。
上場企業のこの34年間を振り返ると、経営的に追い込まれた故の組織再編も多かったかもしれないが、徐々に攻めの組織再編も増え、企業が収益力を回復させ、株価を押し上げてきたケースも多いとみられる。

(図表1) 継続採用107銘柄の過半が下落

 日経平均株価が2024年2月22日、約34年2カ月ぶりに史上最高値を上回った。

 最高値の更新とは、平均値が34年前の水準に戻ったということだから、日経平均採用のすべての銘柄が最高値を更新したわけではない。株式のようなリスク商品のリターン分布は、ごく一部の大幅な値上がり銘柄に平均値が引っ張り上げられる一方、過半の銘柄の値上がり率は平均以下にとどまる傾向がある。

 実際、この間に継続的に日経平均に採用されてきた107銘柄の権利落ち修正後の株価動向を見ると、平均上昇率は63.0%に達したが、騰落率の高い順に並べたときにちょうど真ん中にくる銘柄の騰落率、つまり、中央値はマイナス3.7%だった。

 図表1に示したように、平均値が大幅なプラスなのは、


■ 筆者履歴

前田 昌孝

前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。 22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。

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