[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2015年3月号 245号

(2015/02/15)

第121回 コンビニエンスストア業界 業界地図を塗り替えるサークルKサンクスの去就

 編集部
  • A,B,EXコース

  コンビニエンスストア業界のトップを走るセブン‐イレブン・ジャパン。売り上げ、店舗数ともに群を抜く。同社を追撃するローソン、ファミリーマートの戦略、業界再編が噂される中で注目されるサークルKサンクスの動向を有力アナリストに聞いた。

苦しい状況が続く既存店売り上げ

  日本フランチャイズチェーン協会の発表によると、2014年(1~12月)の全国のコンビニエンスストア(以下コンビニ)の新店を含む全店売上高は、前年比3.6%増の9兆7309億円となったが、既存店の売上高は前年比0.8%減の8兆8315億円で、市場全体では拡大を続けているものの、消費増税後の回復が鈍く既存店は苦しい状況が続いている。

  コンビニ業界の上位企業を13年度売上高で見ると、①セブン‐イレブン・ジャパン(以下セブンイレブン)3兆7812億6700万円、②ローソン1兆9453億9400万円、③ファミリーマート(以下ファミマ)1兆8627億2800万円、④サークルKサンクス(以下サークルKS)1兆188億9100万円、⑤ミニストップ3499億1400万円、⑥デイリーヤマザキ2099億8500万円、⑦セイコーマート1816億8600万円となっており、上位3社が他を大きく引き離し「3強」といわれる存在になっている。

  しかし、この3強の間でも明暗が分かれる。14年10月に発表された各社の14年度中間期連結決算(3~8月)を見ると、業界トップのセブンイレブンの売上高は前期比7.1%増の1兆3680億円、営業利益は同6.3%増の1369億円。2位のローソンの売上高は前期比2.5%減の2419億円、営業利益は同12.3%増の400億円となっているのに対して、ファミマは売上高こそ前期比5.3%増の1843億円だが、営業利益は同15.8%減の214億円と苦戦を強いられている。

「これは、単に出店を続けるだけで収益を伸ばせるというコンビニの構造が既に崩壊したことを意味しています。全国に店舗網を持つ小売り大手の強みといわれた大量仕入れと大量販売は、多様化した消費者の嗜好に十分に応えることができなくなっています。人口減に加えて、消費税増税の影響が尾を引く中で、消費者を引き付ける惣菜や加工食品などのPB(プライベートブランド)の商品開発力や、それをサポートする物流網、本部からフランチャイジーへの販促支援体制などが勝負の分かれ目となって、すべてに強みを持つセブンイレブンが名実ともに首位を独走している状態です。実際、セブンイレブンの1店当たりの平均日販は13年度実績で66万円と、2位のローソンを12万円、3位のファミマを14万円引き離しています」と語るのは、モーニングスター 調査分析部の宮本裕之株式分析室長。

【大手4社の売上高と営業利益、店舗数】【大手4社の既存店売上、平均日販、商品粗利益率】

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