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2017年6月号 272号
第120回 「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」の公表と役員給与に係る税制改正 有料記事です

 荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)
1. はじめに   経済産業省の研究会であるCGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)は、2017年3月31日にCGSガイドライン(コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針)を公表した。CGSガイドラインは、「コーポレートガバナンス・コードにより示された実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を企業が実践するに当たって考えるべき内容をコーポレートガバナンス・コードと整合性を保ちつつ示すことでこれを補完するとともに、「稼ぐ力」を強化するために有意義と考えられる具体的な行動を取りまとめたもの」であると位置づけられている。   「企業の『稼ぐ力』の持続的な向上」は、第二次安倍内閣の成長戦略(日本再興戦略)の中で、最も重点が置かれてきた目標であることは、前号でも述べた通りである。 コーポレートガバナンス改革は、「過去20年以上にわたって企業価値が低迷し続けてきた我が国の現状から脱却し、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることのできる経済システムを構築」することを目指すものとして、第二次安倍内閣において積極的な取り組みが行われて来たものである。だたし、CGS研究会は2011年に発覚した日本企業の不正会計事件を受けて発足し、パフォーマンスの向上のみならず、コンプライアンス・不祥事防止、海外投資家への説明のあり方も含めて検討が行われたのである。グローバル競争の中での我が国経済・企業の地位の低下への対応のためのガバナンスの改革という以前に、日本企業の信頼性やひいては日本市場の信頼性の根幹に関わるガバナンスのあり方そのものが問題視されたものと思われる。その後、会社法改正や東証上場規程改正が行われたものの、近年新たに生じた企業の会計不祥事等の問題も踏まえて、より実効性のあるガバナンス改革に向けた、取締役会の機能、監督機能、相談役・顧問の在り方等についての指針が盛り込まれている。   そして、役員の報酬体系に関して、経営戦略に基づいた報酬政策の設計や株主等の理解を促すための、積極的な情報開示の検討の提言を行っている。日本企業の役員報酬は基本報酬(固定報酬)の比重が高く、短期・中期の業績連動賞与や長期インセンティブ(主に株式報酬)の報酬に占める割合が非常に小さいことは一般的に認識されている通りであり、株式報酬導入の税制支援の一環として、平成28年度税制改正で、譲渡制限付株式による給与を支給する場合の取扱いが整備された。更に、税務上、損金に算入できる業績連動型報酬の利益指標についても、対象となる指標にROE(自己資本利益率)その他の利益に関連する一定の指標が含まれることが明確化された。   ただし、上記の改正によっても、実務で導入されている役員のインセンティブプランの実態との乖離があり、平成29年度税制改正によって、株式報酬も織り込んだ役員給与の取扱いについて大幅な見直しが行われたのである。本稿では、平成29年度税制改正による役員給与の見直しと、制度運用上の留意点について解説を行う。 2. 役員のインセンティブプランと支給実態   我が国では主に役員と執行役員(委任契約による場合)を対象に株式報酬が導入されている。ストック・オプションは平成18年度税制改正において、会社法の施行及びストック・オプション会計の導入に併せて措置されたものであり、退職慰労金見合いとして導入されている場合が多い(図表2参照)。株式報酬型ストック・オプションは行使価額が1円のストック・オプションであり、実質的にはRS(譲渡制限付株式)に相当するものである。2015年のコーポレートガバナンス・コードの適用以後は、信託型の株式交付制度を導入する企業が急増している(図表3参照)。   役員の報酬設計に当たっては、それぞれのインセンティブのメリット・デメリット(図表1参照)を勘案して、報酬のミックスを検討する必要があるが、企業の競争力強化の観点からは、業績連動型報酬として株式報酬の比重を高めることが望ましいということになろう。平成29年度税制改正前の制度では、株式報酬については信託型による交付や、グループ子会社の役員へのストック・オプションの交付については損金算入が認められない等の税制の取扱いで不利となることが、制度導入の障害の一因とされることもあった。

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