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  マール8月号の特集座談会のタイトルは「M&A新時代 ― 株対価M&Aの幕開け」とちょっと刺激的ですが、2018年7月に施行されたばかりの改正産業競争力強化法(以下、強化法)によって、株対価M&Aが画期的にやりやすくなり、本格的に使われる時代に入ったからです。本稿では、そのポイントを基礎講座風に解説したいと思います。実務専門家にはちょっと物足りないと思いますが、座談会本文を読む準備運動と思って、お付き合いください。

株対価M&Aとは

  会社が他の会社を買収する場合、どんなスキームであれ、対象会社(S社)株主は保有するS社株を買収会社(P社)に渡して、P社から対価を受け取ります。そして、その対価が現金の場合は現金対価のM&A、買収会社P社の自社株(又はその親会社株)の場合は株対価のM&Aと呼ばれます。前者は要するに株式の現金売却で、相対取引や対象会社S社が上場会社の場合はP社によるTOB(公開買付け)によることが多いと思います。

  一方、株対価M&Aですが、国内で最も普通に使われているスキームは、株式交換・株式移転と合併です。これらは、会社法上「組織再編」と位置付けられ、株主総会の特別決議で承認されれば、すべてのS社株主が株式の交換取引を強制されることになります。その代表的手法である株式交換を例にとると、株式の交換取引の結果、すべての対象会社S社株主は買収会社P社株主に変身し、P社は自社株対価でS社株を100%買収したことになります。100%買収に限られる、外国会社には使えないなど、使い勝手の面で制約・難点もありますが、キャッシュレスで買収ができるという大きなメリットがあります。しかも、後で述べますが、S社株主における株の交換取引に対する譲渡益課税が繰り延べられるという、決定的なメリットがあります。

  株式交換等の「組織再編」以外の株対価M&Aのスキームとしては、(後述の通り税制がネックとなって実際にはほとんど使われていませんが、)「株対価TOB」や「相対取引」が考えられます。例えば、株対価TOBでは、P社株対価でS社株の公開買い付けをし、二段階目に現金によるスクイーズアウトを組み合わせれば100%買収が可能です。相対取引では、例えば、オーナー社長保有のS社株をP社株対価で買い取ることで、オーナーはP社の大株主となり、パートナーシップ的会社運営が可能になります。100%未満の買収も含め、いろいろな使われ方があると思いますが、いずれにしても買収会社の目線からは、自社株(P社株)対価の買収という理解の仕方が自然です。しかし、会社法上は、この取引はP社による募集株式の発行(第三者割当)において、S社株主が保有株を「現物出資」したと位置付けます。主語が逆転したような感じがします。

  さて現物出資による増資となると、会社法には厳しい規制があります。資本が増えるのだから、その増資額に見合う価値の財産がちゃんと出資(払い込み)されているかをチェックする等の規制です。「資本充実の原則」という考え方から生まれた規制ですが、似たような経済効果を持つ「組織再編」に比べて、厳しすぎるという見方もあります。

  以下では、株対価TOBを例にとって、この会社法上の規制について見ていきます(ここでは買収会社、対象会社ともに上場会社とします)。まず有利発行規制です。現金TOBの場合…



第5回 事業承継M&Aと法務デューディリジェンス

スキルアップ講座

[「M&A基礎講座」 ~事業承継M&Aの法務~]

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 高橋 聖(ソシアス総合法律事務所 パートナー 弁護士)

KDDI<9433>とJパワー(電源開発)<9513>、エナリス<6079>を買収

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[<速報>公表アドバイザー情報]

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特集:
M&Aで大胆な事業ポートフォリオの入れ替えを実践する日清紡ホールディングス

村上 雅洋(日清紡ホールディングス 代表取締役副社長 経営戦略センター長)
松田 千恵子(首都大学東京経営学研究科 教授)

左から村上 雅洋氏、松田 千恵子氏
―― 本日は、日清紡ホールディングスの代表取締役副社長 経営戦略センター長の村上雅洋様と首都大学東京教授の松田千恵子様に、かなり大胆な事業ポートフォリオの組み換えを、M&Aという手段を使ってやり遂げておられる日清紡HDのその現在に至るまでの経緯と将来の姿を、グループ経営の在り方とともにご議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


1. 日清紡ホールディングスの事業の生い立ちと事業ポートフォリオの変遷

松田 「御社のコマーシャル(CM)(http://www.dog-theater.jp)をよく拝見しますが、『日清紡(NISSHINBO)』という社名を知らない人はいませんね」

村上 「昔はCMもほとんどやっていませんでしたから、繊維業界の中で知る人ぞ知る会社だったのですが、今は色々な事業を行っていて、さらに、ああいうCMをやったおかげで少し知名度が上がってきたというところです。


 日清紡ホールディングス(旧日清紡績)は1907(明治40)年に高級綿糸の大量生産を担う紡績会社として創業されました。今年で111年目となります。1940~1960年代に戦後の生活物資需要に応えて事業の多角化を推進、1960年代後半~1980年代にモータリゼーションを背景にブレーキ事業を拡大、1990年代に円高を踏まえて事業のさらなる多角化と海外進出を推進し、2000年代には、情報化社会の到来に備えてエレクトロニクス分野に注力しました。エレクトロニクス事業を当社グループの戦略的コア事業とするべく、2005年のTOBによる新日本無線の子会社化を皮切りに、さらに、2010年に日本無線と長野日本無線を子会社化しました。一連のM&Aにより、エレクトロニクス事業の売上高が全体の約4割を占めるようになり、名実ともに当社グループのコア事業となりました。ブレーキ事業では、2011年に自動車ブレーキ用摩擦材で世界2位のルクセンブルクのTMD Friction Group S.A.(TMD)をM&Aで傘下に収め、摩擦材で世界トップクラスのグローバルサプライヤーに成長。売上高比率も全体の3割を超える事業となり、その後も紙製品事業など一部事業の譲渡やM&Aによるエレクトロニクス事業、車載ビジネスの強化を図り、事業ポートフォリオの組み換えを積極的に行ってきました」

2. 繊維からブレーキそしてエレクトロニクスへの事業転換の変化点

松田 「一方で、これもCMで『何をやっているかは知らない』と言うように、まさに繊維からブレーキそしてエレクトロニクスへの事業転換を華麗に果たしてこられた訳ですが、その過程で様々なM&Aをやってこられています。まずは、その変化のきっかけ、来し方行く末みたいな辺りから教えていただけますか」

村上 「ホールディングス(持株会社)に移行して2019年4月で10年になります。2006年ごろ、ホールディングス化を考えはじめたときが変化点だったと思います。企業として何を目指すのか、長期的な戦略・方針が必要で、企業にとって大事なことは常に変化していくことだと考えました。当時、まだ繊維、ブレーキが主力事業でした。成功しているわけですから過去の成功体験に囚われています。しかし、世界の社会・経済が激変するなかで、ビジネスモデルの変革を拒み続けると、社会のニーズに対応できない事業構造になり、収益力を喪失する。それではもう手遅れになるということで着手しました」

松田 「事業全体のポートフォリオを見たときに、成長に対しての危機感があったのですね」

村上 「おっしゃるとおり、元は技術的なリソースが繊維から派生して分化していって、ブレーキ(摩擦材)ができてケミカルがあってという形で多角化していったわけですが、当時、コングロマリットディスカウントではないか、事業が分散してそれぞれにシナジーを発揮できずに集中的な投資もできていないのではないかなどと言われました」

松田 「2000年代前半ぐらいから日本で『選択と集中』が言われはじめて、2006年というとちょうど資本市場でアクティビストファンドなど『モノ言う株主』が出てきたときでもありましたが、そうした声の影響もあったのですか」

村上 「2005年に新日本無線のTOBをめぐり、あるファンドとのバトルがあったのが一つの刺激にはなっています。経営はできなくても、言っていることはある面、正しいところがあると当時のトップは語っていました。マール2007年10月号でインタビューしていただいた岩下俊士です(https://www.marr.jp/genre/talk/chief/entry/744)。ファンドとの戦いの後ぐらいに社長になっていますが、そのころに方針を決めて、ホールディングス化することにしました。しかも、できるだけ早く、1年、2年で仕上げるようにと言われました。そこからM&Aをしていくことが始まりました。なかなか先見の明があると思います」

松田 「それはある意味、素晴らしいですね。アクティビストファンドが働きかけた企業はたくさんありましたが、いまだに何も変わっていない企業のほうが多い中で、受容の余裕がおありになったということですね」

村上 「その時期に社外取締役を入れ、役員の任期を1年にしました。それは言われてつくったわけではなく、やはり資本家にお応えする一つの形としてはそれがいいのではないかと考えたのです」

松田 「コーポレートガバナンス・コード導入のかなり前ですね。その時点で刺激を受けて、皆様がご自身で考えられた答えが社外取締役の導入であったり、任期の変更であったりと、今のコーポレートガバナンス・コードを先取りするような話だったわけですね」

村上 「日本的経営というと、どうしても家族主義的なところがあります。まず
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2017年のベンチャー企業へのM&A動向

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第117回 現地経営トップの積極派遣

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[M&A戦略と会計・税務・財務]

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企業研究

[M&Aの現場から]

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及川 厚博(代表取締役CEO)

マーケット動向

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[M&A戦略と法務]

NEW 海外企業を対象とする買収取引と子会社管理における留意点

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M&A新時代 ― 株対価M&Aの幕開け

[対談・座談会]

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安藤 元太(経済産業省 産業組織課 課長補佐<当時>)
中山 龍太郎(西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士)
松尾 拓也(西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士)
武井 一浩(西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士)(司会)

EXIT戦略

[座談会] ベンチャー企業のイグジット戦略~現状と課題

[対談・座談会]

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【出席者】(五十音順)
 宇壽山 図南(東京証券取引所 上場推進部課長)
 仮屋薗 聡一(グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会会長)
 久保田 朋彦(GCA マーケティングオフィサー、アンプリア 代表取締役)
 渡辺 洋行(B Dash Ventures 代表取締役社長)(司会)

2018年1-7月のM&A件数と金額

2018.7.31現在 集計
 IN-ININ-OUTOUT-IN合計
件数 (件)1,565
409134
2,108
増加率37.3%8.2%25.2%29.7%
金額 (億円)15,940128,410
69,438
213,789
増加率21.0%184.2%622.7%214.5%
  • ※2017年1-12月の日本企業の
    M&A動向は、こちら
  • ※増加率は前年同期比 [M&Aとは]




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