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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2014年2月特大号 232号

(2014/01/15)

第80回 中国におけるM&A戦略および撤退に係る留意事項

 石川 渉(PwC中国* ディレクター)
 古賀 淳一(PwC中国 アソシエイトディレクター)
 松田 鉄平(PwC中国 マネージャー)

はじめに

  日本企業による中国市場の見方が大きく変わってきています。そこで、本稿では、改めて中国においてM&A戦略を実行するにあたって留意すべき事項を整理し、また、近年増加傾向のある中国よりの事業撤退における留意点についても簡単に整理します。

中国におけるM&A戦略

  2020年東京オリンピックの決定、アベノミクスを受けた経済成長率の改善が見られるなど、一定の好材料は見られるものの、長期的には少子高齢化や人口減少による国内市場の縮小、膨らみ続ける国の借金に対する財政再建など、日本経済は大変厳しい課題を抱えています。

  一方で、尖閣諸島の国有化を受けた日中問題、政治リスクの顕在化、人件費の高騰といった問題を抱えるものの、中国では2009年に自動車販売台数で米国を抜き1位となり、2010年にはGDPで日本を抜き2位となるなど、世界経済の牽引役となるべく比較的高い経済成長を続けています。

  従来から重要な製造拠点として多くの日本企業が進出されていますが、世界の約20%の人口をもち、巨大かつ高成長を続ける中国市場のポテンシャルを鑑みると、中国市場の攻略は日本企業の最重要課題の1つであり続けると思われます。

  また、スピードを競う現代の企業社会において、一から立ち上げるのではなく、「時間を買う」という意味でM&Aを有効に活用している日本企業も増加しています。以下では、中国企業が抱える問題点にも触れながら日本企業が中国でM&Aを実行するにあたり留意すべきポイントについて説明します。

• 経営戦略の再確認

  「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という孫子の言葉がありますが、SWOT分析を含めた自社の外部環境および内部環境の把握が望まれます。

  例えば、所得倍増論の中で高騰し続ける人件費は、製造拠点の観点からは競争力の低下を招くなど大きな脅威となりますが、一方で中国国内の消費市場が飛躍的に拡大するという観点では大きな機会となります。そのため、低付加価値な労働集約型産業にとっては中国国内での再編、撤退、チャイナ・プラス・ワンといった戦略が考えられる一方で、拡大する消費市場を狙った事業拡大のためのM&Aという選択肢も有力なオプションとなります。

  また、日本の20倍以上の面積を有する中国は、商慣習・文化・気候などの観点からも非常に多様な市場であり、中国市場に対応したマーケティングや販売チャネルの構築は日系企業にとって難しいチャレンジとなります。こういった弱みを補うために中国マーケットを熟知する地場のパートナーとの合弁を積極的に模索していくことも、中国消費市場攻略の有力な選択肢として考えられます。

  以上のように内部・外部の経営環境を分析し、経営戦略を再確認することによって、M&Aを含めた事業戦略上の選択肢やM&Aパートナーの絞込みができるだけでなく、中国市場における自社の強みを明確に把握(M&Aパートナーにどういったメリットがあるかの明確な主張)することによって、パートナーとの交渉にも資することになります。

  

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