[M&Aスクランブル]

(2022/11/25)

事業承継型M&A市場の潜在規模を考える~中小企業M&Aの定着・発展に向けた転換期に

マール企業価値研究グループ
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オリックスによるDHCの買収

 11月11日、オリックスによる化粧品・健康食品大手のDHCの買収が発表された。オリックスの買収金額は約3000億円と報道されており(日本経済新聞11月11日付)、この金額が事実であれば事業承継に伴うM&Aとしては過去最大規模の案件となる可能性がある。本件のような超大型案件はまだ稀なケースであるものの、近年中小企業を中心に、経営者の高齢化や後継者難を背景とした事業承継型M&Aが増えている。こうしたM&Aは今後も増加する傾向にあると考えられると同時に、事業承継の分野は、経済界でも次第に何かと注目される領域として意識されるようになってきている。

10年で約10倍に拡大した市場

 直近の中小企業庁「中小企業白書」によれば、近年、日本におけるM&A件数は急増している。

 独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する事業承継・引継ぎ支援センターの2020年度の中小企業M&A支援実績1379件や、中小企業M&A仲介上場大手3社である日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズの実績760件を勘案した数字である。2013年度の事業承継・引継ぎ支援センターおよび中小企業M&A仲介上場大手3社の実績は計215件であったため、この10年弱で約10倍に拡大したことになる。

 中小企業のM&Aが拡大する背景には、経営者の高齢化と後継者難といった事情が存在する。中小企業庁によると、経営者年齢のピークは、団塊の世代の高齢化もありこの10年で60歳前後から60歳から70歳と上昇した。また、後継者不在率も約40%と高い状況だ。廃業件数も増加傾向にあり、2020年は約5万件の廃業、うち約30%は後継者難が原因と考えられている。中小企業は日本の産業基盤の根本を構成するものであり、継続可能な事業が後継者不足で廃業となることを抑制することが、社会的・政策的要請となっていることは理解できる。

 以上のような環境への解決策となっているのが、オリックスによるDHC買収の事例のような事業承継型M&Aだ。事業承継型のM&Aは、後継者のいない企業を社外の第三者へ株式譲渡や事業譲渡により承継する手法である。親族や従業員に後継者がいない場合に用いられることが多く、広く候補者を募ることが可能であることや、株式譲渡や事業譲渡により現経営者に利益が生じる可能性などがメリットであると考えられる。

目立つ事業承継型M&Aへの支援措置と中小企業M&A仲介事業者

 上述のような環境変化・認識を受け、…


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