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2021年3月号 317号

(2021/02/15)

事業売却の事前準備

ケン・レブラン(デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所 パートナー)
 約25年間にわたり日本企業によるM&A案件の代理を務めてきたが、2、3年ほど前までは、その約90%が買収案件の代理であり、日本企業による事業の売却案件の代理を務めることはごく稀であった。外国法弁護士として日本国内の案件よりもクロスボーダー案件により多く携わってきたが、かかる筆者の経験はマーケット全体の傾向と概ね合致しているものと考える。時を経て、既存事業の売却を伴わずに事業の買収を行うというこの傾向は、多くの日本企業がより大規模にコングロマリット化し、他国の競合企業と比較してその収益性が低下するという結果をもたらした。

 近年、複数の要素が重なり、多くの日本企業において事業売却の検討を促されることとなった。第一に、安倍政権下において経済成長と競争力強化のための政府方針として新たに制定されたコーポレート・ガバナンス・コード及びスチュワードシップ・コードに加え、東京証券取引所及び投資家が株主資本利率(Return on Equity, ROE)に着目したことが、多くの日本企業に収益率の低い停滞事業の売却を検討させた要因の一つとして挙げられる。第二に、景気の低迷及び国内外の競争激化により、将来投資に備えた資金捻出のためにノンコア・アセットを売却する等して、コア事業を維持し成長させていく必要が生じたことが挙げられる。

 一部の日本企業(商社等)は事業の売却を頻繁に行っているものの、多くの日本企業は、米国及び欧州の同業他社と比較して、重要な事業の売却に関する事前準備及び実行に関する経験が不足している。そして残念ながら、かかる経験不足により、事業売却の際、適切な売却価格を得られない、又は売却プロセスや取引実行の際に予期しなかった困難に直面する等の事態に陥る可能性がある。本稿では、事業売却案件に際し、日本企業がより効果的に準備を行うことのできるいくつかの項目について論じる。

契約管理
事業売却に伴う契約の承継には、売却対象事業が株式売却の方法により譲渡可能なエンティティのみに帰属している場合でない限り、通常、契約の相手方の承諾が必要となる。米国や欧州では、多くの企業がスタンダード・プラクティスとして、契約書の中に、関係事業の売却を行う場合には相手方当事者の承諾なくして当該契約の承継を可能にする条項を設けている。日本企業においては、

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【出席者(敬称略)】
Ken Lebrun(デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所 パートナー)
今関 源規(三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資銀行本部 M&Aアドバイザリー・グループ マネージングディレクター)
西村 修一(長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士)
濱口 耕輔(長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士)(司会)

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