[特集インタビュー]

2023年2月号 340号

(2023/01/13)

新生「アリナミン製薬」の成長戦略を語る

森澤 篤(アリナミン製薬 代表取締役社長)
坂本 篤彦(ブラックストーン・グループ・ジャパン 代表取締役 シニアマネージングディレクター プライベート・エクイティ日本代表)
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森澤篤・アリナミン製薬 代表取締役社長(左)と坂本篤彦・ブラックストーン・グループ・ジャパン 代表取締役 シニアマネージングディレクター プライベート・エクイティ日本代表

森澤篤・アリナミン製薬 代表取締役社長(左)と坂本篤彦・ブラックストーン・グループ・ジャパン 代表取締役 シニアマネージングディレクター プライベート・エクイティ日本代表

「第2の創業」へ向け動き出す

 ブラックストーンが武田薬品工業(以下「武田薬品」)から武田コンシューマーヘルスケア(以下 「TCHC社」)の全株式を譲受したのは2021年3月。TCHCは社名を「アリナミン製薬」に変更、代表取締役社長にエーザイの副社長、代表執行役アジア・リージョン プレジデントなどを務め、ブラックストーンが2019年に買収した「あゆみ製薬」の取締役会長に就任していた本多英司(ひでし)氏を迎え、4月1日から新たな社名と体制のもと、事業を開始した。

 武田薬品がコンシューマーヘルスケア事業を分社化し、TCHCを設立したのは2017年4月。翌年の2018年、武田薬品はアイルランドの製薬大手シャイアーを760億ポンド(6兆8000億円)で買収し、この買収によって日本の製薬企業初の世界10位に躍り出た。シャイアー買収のため武田薬品は約3.3兆円の借り入れを行ったと言われており、買収で膨らんだ負債の圧縮に向けて大衆薬など非中核事業の売却を進めながら、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の主要な5つのビジネスエリアに経営資源を集中させる戦略が打ち出された。TCHCの売却も非中核事業売却の一環として行われた。

 TCHC当時の2020年3月期連結売上高は608億円。ビタミン剤「アリナミン」や風邪薬「ベンザ」といったブランドは国内での知名度が高いものの、海外販売は台湾を含む一部にとどまり、海外売上高は1割にも届いていなかった。

 「第2の創業」に向けて歩み出したアリナミン製薬が、2022年に入って大きな変化を見せ始めている。台湾に現地法人を設立し、4月1日から事業を開始。11月には「茶のしずく」ブランドを冠する「薬用 悠香の石鹸」をはじめ、様々なスキンケア製品(シミ・美白ケア他)を通信販売している「悠香ホールディングス」を買収した。また、2022年6月には、代表取締役社長COOに工機ホールディングス代表取締役会長を務めた森澤篤氏が就任、本多英司氏が代表取締役会長CEOとなり、代表者2人体制へ移行した。

 アリナミン製薬が進める成長戦略を森篤・アリナミン製薬 代表取締役社長と坂本篤彦・ブラックストーン・グループ・ジャパン 代表取締役 シニアマネージングディレクター プライベート・エクイティ日本代表に聞いた。

<インタビュー>
D2Cチャネルの強化と海外市場拡販で上場を目指す
森澤 篤(アリナミン製薬 代表取締役社長)
坂本 篤彦(ブラックストーン・グループ・ジャパン 代表取締役 シニアマネージングディレクター プライベート・エクイティ日本代表)

新生「アリナミン製薬」誕生の経緯

―― ブラックストーンは、武田薬品工業(以下 武田薬品)から武田コンシューマーヘルスケア(以下 TCHC社)の全株式を譲受し、2022年4月1日、社名を「アリナミン製薬株式会社」に変更して新たなスタートを切りました。まず、本投資案件の経緯についてお聞かせください。

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