「小粒上場問題」への注目高まる
2022年に行われた東証市場改革は、従来の4つの市場区分(市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ)を、コンセプトを明確化したプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編するものである。市場再編においてグロース市場は、「高い成長可能性を有する企業向けの市場」とされており、従来の新興市場の役割が期待されていることは間違いない。
ただし、昨今日本経済復活に資するイノベーションの重要性への期待が高まる中、グロース市場の「小粒上場問題」への注目も、かつてないほど高まっている状況といえる。小粒上場問題と関連し、スタートアップ企業のM&Aの可能性が高まる可能性がある。
小粒上場問題とは、日本のスタートアップ企業が、早期かつ小規模のIPOにより東証グロース市場へ上場することを指す。早期IPOにより資金調達が少額に留まることや、上場維持のためのコスト負担、上場後に参画する一般株主の短期業績志向などがIPO後の成長を制約することに加え、時価総額が少額に留まることで、機関投資家の投資対象とならないために大規模な成長資金の調達が困難となり、更なる成長が難しくなるといった悪循環が懸念されている。
スタートアップM&Aに大きな影響
日本では、