レコフデータは1985年以降のM&Aデータベースを構築しています

キーワード 一覧

[【M&A戦略】M&A戦略立案の要点(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)]

(2021/03/03)

【第2回】 M&A戦略の策定

木俣 貴光(三菱UFJリサーチ&コンサルティング コーポレートアドバイザリー部 部長 プリンシパル)
< この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます >

M&A戦略のパターン

 参入戦略の検討の結果、M&Aを選択する場合、いよいよ具体的なM&A戦略を立案することになる。それにあたっては、自社の全社戦略および事業戦略を踏まえ、代表的なM&A戦略の類型から自社に適したM&A戦略を着想することが有益である。

 筆者は、イゴール・アンゾフの製品・市場マトリックスになぞらえて、M&A戦略を15のパターンに分類している(図表1)。ただし、実際のM&A案件においては、どれか1つの類型だけにあてはまるということでは必ずしもない。例えば、この企業を買収すると製品ラインナップを拡充できる(類型3)ほか、それに付随して新たな大口顧客も手に入る(類型9)といったことは往々にしてある。プロアクティブにM&Aを行うにあたっては、「何を手に入れたいか」という目的を明確に持つことが必要である。よって、この15類型は、何を主目的としたM&Aであるかによって分類されていると考えていただきたい。その意味では、このフレームワークは厳密にはMECE(※1)ではないが、M&Aの目的を明確化するためのツールとして活用されることを企図している。

 なお、各類型の詳細は、本連載第3回以降において、事例を交えながら解説していく。

図表1 M&A戦略の15類型 

出所:木俣貴光『M&A戦略の立案プロセス』(中央経済社、2019)

ターゲット企業の選定基準の明確化

 M&A戦略の方向性が定まったら、具体的なターゲット企業の選定基準を明確にすることが重要である。そして、その基準を社内で共有するために、「ターゲット企業の条件・評価シート」を作成することをお勧めする。

 図表2はその一例であるが、ターゲット企業に求める条件を項目ごとに明記する形式がよい。定量化が可能なものは、KPI(重要管理指標)を設定して定量的な基準を設ける。また、ネガティブチェック用に、「足切り条件」を設定することもある。ここでの足切り条件とは、一定の条件に満たない場合には、いくつかの条件を満たしたとしてもターゲット企業の選考からはずすという、クリティカルな条件を指す。例えば、再生型のM&Aはしないという方針がある場合、「営業利益が赤字」であればターゲット企業として選定しないという足切り条件とする、といった具合である。

 図表2は、ターゲット企業が選定条件を満たすかどうかをチェックする評価シートも兼ねている。…

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

■筆者略歴

木俣 貴光(きまた・たかみつ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コーポレートアドバイザリー部
部長 プリンシパル

大手石油会社、外資系コンサルティング会社を経て現職。20年以上にわたり、大企業から中堅中小企業まで、幅広いクライアントに対して、M&Aアドバイザリー、グループ組織再編、事業承継対策といった資本政策のほか、M&A戦略立案、PMI支援、ビジョン策定、企業再生支援など、資本政策に付随する戦略テーマにかかるコンサルティングに従事。主な著書に、「M&A戦略の立案プロセス」(第14回M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)、「企業買収の実務プロセス第2版」、「事業承継スキーム」のほか、実務小説「企業買収」(第6回M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)(いずれも中央経済社)などがある。

続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

[無料・有料会員を選択]

会員登録

関連記事

スキルアップ

[M&A関連本紹介]

M&A戦略の立案プロセス

木俣 貴光 /著

座談会・インタビュー

2013年9月号 227号

[マールインタビュー]

No.160 体験した企業買収の実像を小説で描き、日本のM&Aの発展に寄与する

 木俣 貴光(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 財務アドバイザリーサービス室長)

バックナンバー

おすすめ記事

ベトナムの食肉業界

スキルアップ

[【クロスボーダーM&A】ベトナム投資の基礎知識 [ベトナムマーケット概要](ワールディング)]

NEW ベトナムの食肉業界

谷口 正俊(株式会社ワールディング 代表取締役社長)

第164回 パンデミック下での企業経営と情報開示

M&A戦略・実務

[M&A戦略と会計・税務・財務]

NEW 第164回 パンデミック下での企業経営と情報開示

荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)

M&A専門誌 マール最新号

マールマッチング
M&Aフォーラム
NIKKEI TELECOM日経テレコン
日経バリューサーチ

M&A専門誌マール

M&A専門誌マール

「MARR(マール)」は、日本で唯一のM&A専門誌で、「記事編」と「統計とデータ編」で構成されています。

レコフM&Aデータベース

レコフM&Aデータベース

「レコフM&Aデータベース」は、日本企業のM&Aなどどこよりも網羅的に、即日性をもって構築している日本で最も信頼性の高いデータベースです。

セミナー

セミナー

マールの誌面にご登場いただいた実務家、研究者などM&Aの専門家を講師としてお招きし、成功に導くポイント、M&Aの全体プロセスと意思決定手続き、実証研究から見た分析などについてご講演いただきます。

SPEEDA RECOF

SPEEDA RECOF

「SPEEDA RECOF」とは「レコフM&Aデータベース」と株式会社ユーザベースが開発・運営する企業・業界情報プラットフォームである「SPEEDA」がシステム連携します。

NIKKEI TELECOM日経テレコン 日経バリューサーチ

日経テレコン

2002年7月に、日本経済新聞デジタルメディアが運営する日経テレコンの「レコフM&A情報」を通じてM&Aデータの提供を開始しました。

M&Aに関するお問い合わせ、ご相談は
こちらからお気軽にお問い合わせ下さい。

お問い合わせフォーム