[M&A用語]

同意なき買収(敵対的買収)

英語 :Unsolicited Offer, Unsolicited Bid, Hostile Takeover

■ 定義


同意なき買収とは、対象会社の取締役会の同意を得ない企業買収をいう。一般には敵対的買収(hostile takeover)として知られる。

上場企業など公開買付規制が適用される対象会社に対しては、株式公開買付け(TOB)を通じて行われ、その場合は特に同意なきTOB(又は敵対的TOB)という。


■「敵対的」買収

一般に認知されている「敵対的」買収は、取締役会の立場から見た買収者への誇張した表現である。善悪、道徳的・非道徳的などといった価値観とは無関係である。


また、取締役会にとって「敵対的」であっても、取引の相手方当事者である株主にとって「敵対的」であるとは言えない。むしろ買収成立のために株主にとっては従前より良い条件が提示されるのが一般的である。またそうであったとしても株主が取引に応じるかどうかは、原則として株主自身の自発的な意思であり、強制されるものでは無い。但し、二段階買収など一定の買収方法によっては強圧性が存在し、その点は注意すべき論点となっている。


■ 同意なき買収の経緯

買収意向のある買主は、当初水面下で取締役会に買収提案をするが、取締役会から提案内容や提案機会自体を拒絶されると同意なき買収に移行するというプロセスを経ることが一般的である。この提案の際に、提案内容の公開を予定する買収提案(パブリック・ベアハグ)を伴うこともある。


同意なき買収提案がなされ、取締役会と買収者の交渉が行われた結果、条件の見直しが行われ最終的に取締役会の同意を得た買収(いわゆる友好的買収)に移行する場合も多い。


■ 未上場会社に対する同意なき買収

公開買付規制が適用される未上場会社、株式譲渡制限の無い未上場会社だけでなく、株式譲渡制限のある一般的な未上場会社においても、同意なき買収はありうる。例えば相続等により株式が分散された未上場会社において、取締役会の立場と異なる株主が対象会社株式を集約する行為が考えられる(譲渡制限株式の場合であっても対象会社が買受けできない、別途指定する買取人が見つからない等の場合など)。コクヨのぺんてるに対する同意なき買収提案も事例として挙げられる。


創業家株主と非創業家経営陣との対立、取締役会内部での株式を有する経営陣の対立、OB株主と経営陣との対立など、株主と取締役会の意見が対立する場面は多い。そのような対立を解消する一つの手段として、最終的に株式(議決権)の集約が必要となる場合もある。

※ 2023年8月31日に経済産業省が策定した「企業買収における行動指針」に基づき、 マールでは名称を「敵対的買収」から「同意なき買収」に、「買収防衛策」から「買収への対応方針」に変更いたしました。
詳細はこちらをご覧ください。

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更新日:2024年01月12日

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