[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2014年3月号 233号

(2014/02/15)

第110回 ITシステム業界 復活するIT投資と進行する構造変化圧力

 マール企業価値研究グループ
  • A,B,EXコース

1. はじめに

  企業活動にとって、ITの利用が企業の競争力を左右する要素と言われて久しい。その一方で、情報システムを構築・提供する側である、いわゆる情報サービス産業にかかわる企業も、競争環境の変化の波にさらされている。本稿では、情報サービス産業の中でも、システムインテグレータと呼ばれる企業向けの情報システムの企画、開発、構築、運用等をおこなう企業を取り巻く環境について、短期的なテーマ及び中長期的なテーマの2つの視点から状況を振り返りながら、今後の業界の方向性について示唆を得ることとしたい。

  国内の情報サービス市場は、停滞感から抜け出し、上向きの兆しをみせている。リーマンショックの影響が生じた2008年の第4四半期以降、2011年の第2四半期まで対前年同期比で12四半期連続して減少傾向を示していた。しかしながら、情報サービス産業の売上高は、2012年に増加に転じ、2013年には前年比プラスを維持しており、上向きの状況が明確である。日本情報システム・ユーザ協会が2014年1月6日に公表した「企業IT動向調査2014」によると、国内上場企業とそれに準じる企業のうち4割が2013年度よりも2014年度のIT投資を増やすとしている。同調査によれば、前年度より10%以上増額する企業が20%超、また、IT予算を増額する企業から減額する企業を差し引いたDIは、すべての売上規模の会社でプラス、また、業種別にみたIT予算の増減にかかるDIも金融業以外はすべてプラスで、企業が積極的にIT投資に向かっていることが伺える。

情報サービス業の売上高

この記事は、Aコース会員、Bコース会員、EXコース会員限定です

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事