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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2013年8月号 226号

(2013/07/15)

第74回 オーストラリアにおけるM&Aと会計・税務上の留意事項

 会川 徹(プライスウォーターハウスクーパース オーストラリア アソシエイト・ディレクター)

はじめに

  近年、日本企業においてもM&Aの活用が重要な戦略の一つとして定着しており、特に海外企業を買収対象とするクロスボーダーのM&Aが増加しています。刻々と変化する競争環境で、より早く効果が実現するM&Aが選択され、少子高齢化による国内需要の減少傾向や、成熟した国内市場における競争激化を反映し、成長の見込まれる市場への進出が選択されています。

   オーストラリアは、投資先として世界中の投資家から注目されています。豊富な天然資源、資源景気が牽引してきた経済成長、急速な経済成長を記録しているアジアへの地理的優位性、政治的安定や整備されたM&Aを取り巻く法制等が背景としてあげられます。日本からも長年にわたって投資先として注目され、数多くのM&Aが実行されています。従来、日本からの投資は資源業界が主でしたが、近年は幅広い産業に多様化しています。

   M&Aは企業の経営戦略の一つです。M&Aの成功度合いは、投資に対してどれだけの利益を獲得できたか、どれだけ企業価値を向上させることができたかによって評価されます。企業価値は、様々な定量的指標と、直接的な数値化が困難な定性的な要素により構成されます。本稿では、日本企業がオーストラリアにおいてM&Aを実行するにあたり、定量的指標及びその評価に大きな影響を与える会計・税務面での留意事項について説明します(2013年3月末時点のオーストラリア会計基準(A-IFRS)および税法に基づく)。

1. 投資ストラクチャー

  M&Aの検討に際して、投資予算や他のビジネスパートナー等との関係、売り手の思いや買収後の戦略等との兼ね合いを踏まえた重要な検討・交渉事項の一つに買収比率・投資ストラクチャーが挙げられます。オーストラリアのM&Aにおいては、売り手からの提案が交渉のスターティングポイントになることが多く見受けられます。但し、当然ながら売り手と買い手の利害は必ずしも一致しません。買収比率・投資ストラクチャー策定時の考慮事項は様々ですが、まず始めにM&Aを実行する際における税務的及びキャッシュフローへの影響という観点で株式買収と資産買収の比較を行います。
 

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