[M&A戦略と会計・税務・財務]

2014年3月号 233号

(2014/02/15)

第81回 アベノミクスと平成26年度税制改正

 荒井 優美子(税理士法人プライスウォーターハウスクーパース マネージングディレクター)
  • A,B,EXコース

1.はじめに

  政府は、成長戦略の実行の加速化・強化、投資減税措置等、「政・労・使」の連携による経済の好循環の実現の取り組みとともに、5兆円規模の新たな経済対策を策定した「好循環実現のための経済対策」を平成25年12月5日に閣議決定し、それを受けて自由民主党、公明党両党は、平成25年12月12日に、平成26年度税制改正大綱(以下「平成26年度税制改正大綱」)を決定した。

  安倍政権はデフレ脱却及び日本経済再生を最重要課題として掲げ、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を強力に推進してきたが、この司令塔となっているのが、総理大臣と閣僚を構成員とする「日本経済再生本部」(平成24年12月26日閣議決定により設置)である。日本経済再生本部は、その名称からも明らかなように、我が国経済の再生に向けて、成長戦略を実現することを目的とした企画、立案、総合調整を担うものである。

  日本経済再生本部は、日本再生のシナリオとその実行のロードマップとして「日本再興戦略」を平成25年6月14日に閣議決定し(図表参照)、日本経済再生本部の下に置かれた産業競争力会議において、より具体的な施策を立案してきた。平成25年10月1日に、政府は平成26年4月からの消費税増税とともに、消費税率の引き上げによる反動減を緩和して景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り持続的な経済成長につなげるための、経済政策パッケージを閣議決定した。

  これは、同日に日本経済再生本部が決定した「成長戦略の当面の実行方針」も包括した消費税増税の対応策である。経済政策パッケージに謳われた成長力底上げのための政策、「政・労・使」の連携による経済の好循環の実現、復興の加速等の税制措置として、平成25年10月1日に政府与党による税制改正大綱(「民間投資活性化等のための税制改正大綱」)が、年度の税制改正大綱に先立って公表されたことは12月号において解説した。平成26年度税制改正大綱は、「民間投資活性化等のための税制改正大綱」も織り込んだものだが、本稿では年度末の改正事項のうち、法人関連の改正について解説を行う。

【図表「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(6月14日閣議決定)】

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