[M&Aスクランブル]

(2013/12/11)

航空業界再編にみる米国のダイナミズム

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 米航空会社USエアウェイズ・グループと、経営再建中のアメリカン航空親会社AMRの合併が12月9日に完了し、「アメリカン航空グループ」が誕生する。新会社の株式をAMRの債権者が72%、USエアウェイズの株主が28%取得する。反トラスト法違反の疑いがあるとして米司法省が合併差し止めを求めていたが、一部発着枠の返上などを条件に和解した。これによって米国航空業界の再編は一段落し、アメリカン航空グループ、ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス、デルタ航空がビッグ3となる。

 2012年の実績に基づくと、アメリカン航空グループの売上高は約390億ドル(約3兆9000億円)となり、首位ユナイテッド・コンチネンタルの約370億ドルを上回る。また、輸送実績(有償旅客距離ベース)でもユナイテッド・コンチネンタルを上回ると言われており、世界最大の航空会社が誕生することになる。

 合併効果は2015年までに年間10億ドルを超える見通しで、うち旅客輸送に伴う収入増加が約9億ドル、コスト削減効果が約1億5000万ドルとみられている。2社の900を超える運行路線のうち重複路線は12と少なく、補完的な効果が見込めそうなこともあって、合併は専門家の間でも広く予想されていた。

 振り返ってみると2001年の同時多発テロ発生後の米国航空業界は、経営破綻と再建を繰り返す中で業界再編が進展してきた。

 2002年にはUSエアウェイズ・グループとユナイテッド航空の経営が破たんし、2004年にはUSエアウェイズが2度目の経営破たんを起こしている。また、2005年にはデルタ航空とノースウエスト航空の経営が破たんした。

 

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