ここ数年、
コングロマリットディスカウントの解消を目的に、親子上場の廃止を積極的に実施する大手企業が増えている(図表1)。その背景には、東京証券取引所が上場企業に要請している「資本コストや株価を意識した経営」が浸透してきたことがある。例えば、日立製作所はすでに上場子会社をなくしているが、
完全子会社化や子会社売却などを通じて積極果敢にグループ再編を進めたことが評価されて株価もここ3年程度で急騰している。
総合商社もこうした動きと無縁ではなく、最近では三菱商事が主要上場子会社の1つである三菱食品の完全子会社化に動いた。三菱食品は三菱商事が株式の50.11%を保有し、現在は同社の連結子会社である。1925年創業の老舗で、国内外の加工食品、低温食品、酒類、菓子の卸売りを主力事業としている。三菱商事は三菱食品に対して2025年5月から
TOBを実施(買い付け期間は7月8日まで)、買付代金総額は最大約1380億円に上る。基本的に友好的なTOBであり、その成立確度は極めて高いとされる。
三菱商事には大きく分けて8つの事業グループがあり、