ついにM&Aアドバイザーに「資格制度」 6月13日に閣議決定された石破政権の成長戦略、「
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」に、中小企業・小規模事業者向けのM&Aアドバイザーの資格制度に関する記載が登場した。具体的には、「M&Aの実施に当たっては、財務、税務、法務等の専門支援が総合的に求められる一方で、M&Aアドバイザーの専門知識には大きなバラつきがあることや、業界全体での規律の浸透を図るためには組織レベルでの規律に加えてM&Aアドバイザー個人レベルでの規律浸透が求められることから、新たな資格制度を検討し、支援人材の育成を図る。」(22ページ)という記述である。
政府は近年、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化という観点で、中小企業等の事業承継やM&Aへの取り組みを強めてきたが、今回のM&Aアドバイザーの資格制度についても、同様の文脈から出てきたものと考えることができる。本稿では中小企業庁を中心とした政策立案の過程をたどるとともに、今後の資格制度制定に向けた課題を考えてみたい。
経済産業省に属する組織である中小企業庁は、深刻化する中小企業等の後継者問題に着目し、以前からさまざまな対応を講じている。