[Webマール]

(2025/02/10)

アドバンテッジパートナーズ運営の水素ファンド、その投資戦略

鈴木 圭一(アドバンテッジパートナーズ パートナー、再生可能エネルギー・サステナビリティ投資部門責任者)
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鈴木氏
プライベートエクイティ(PE)ファーム・アドバンテッジパートナーズ(AP)が運営する「水素ファンド」が、2024年に始動した。日本、北米、ヨーロッパ、豪州を中心にエマージング市場であるアジアや中東、南米等の水素関連の企業・インフラに投資を行う日本初のファンドだ。
この水素ファンドには、水素産業の育成を目的とし、国内企業・団体475社(2025年1月時点)が参加する「一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会」が参画している。2024年8月にトヨタ自動車や岩谷産業、三井住友銀行、三菱UFJ銀行など計8社から4.1億ドル(約600億円)を集め、同年12月に2回目の資金募集を完了。さらに2025年1月には第1号案件への投資実行を公表しており、今後一層活動を活発化させていく見込みだ。
ファンドの規模は、10億ドル(約1500億円)まで拡大する計画とみられる。投資案件の選定や投資先企業の価値向上を手がけるアドバンテッジパートナーズの鈴木圭一氏に水素ファンドの概要や今後の狙いについて話を聞いた。
JH2Aとの連携

―― 水素ファンド設立の背景や狙いについて教えて下さい。

「約2年前に『一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会(Japan Hydrogen Association、以下JH2A)』からお声掛けをいただき、水素ファンド設立の構想に参加することになりました。JH2Aは、トヨタの内山田前会長、岩谷産業の牧野会長、三井住友フィナンシャルグループの國部会長の3名が中心となり、水素を日本の新たなクリーンエネルギーとして普及させることを目的に設立された組織です。

 JH2Aには水素利活用に関与する大手企業や地方自治体が参加しており、日本の主要な工業地帯を擁する地方自治体や、脱炭素やエネルギー転換に関連するあらゆる業種の企業が参加しています。会員数は企業や団体を合わせて475社・団体(2025年1月時点)にのぼります。

 JH2Aは設立当初から、大きく3つの目標を掲げています。1つ目は


■鈴木 圭一(すずき・けいいち)
東京大学工学部都市工学科卒業。MITスローン校MBA課程修了。一級建築士。
三菱商事で、国内不動産開発、米国、日本、欧州におけるバイアウト投資、欧州と中東における再生可能エネルギーを中心とする電力開発等の事業投資を数多く手掛ける。その間、太陽光IPP開発チームリーダー、カタールFacility Dタスクフォースリーダー、欧阿中東電力事業部長代行、企業投資部長などを歴任。2015年から2020年までロンドン在Diamond Generating Europe社社長として、蘭・英・白洋上風力発電事業など多くの開発案件に携わる。2021年7月アドバンテッジパートナーズに参画。

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