[寄稿]

2023年1月号 339号

(2022/12/09)

レスポンシブル・ビジネス実現に向けたM&A 成功の要諦

【第1回】デジタルの次の競争の源泉、「レスポンシブル・ビジネス」とは?

海老原 城一(アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 サステナビリティ プラクティス日本統括 マネジング・ディレクター)
横瀧 崇(アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ M&Aプラクティス日本統括 マネジング・ディレクター)
  • A,B,EXコース
はじめに

 近年、「企業が社会課題の解決への貢献と自社のビジネスを両立させるための取り組み」であるレスポンシブル・ビジネス(Responsible Business)という新しいビジネスの在り方が世界中の様々な業種の企業から注目を集めている。アクセンチュアを含む米国の主要企業で構成される「ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)」は2019年8月、「企業の目的に関する声明」を発表し、「株主資本主義との決別とステークホルダー資本主義への転換」を宣言。これまでの株主の利益追求だけに偏重した経営ではなく、従業員や取引先にとどまらず、地域のコミュニティーやその他のステークホルダーといった全体の利益に資する企業活動を実践し、それを中核的なビジネスとして位置付ける姿勢が、これからの企業には求められるようになった(注1)。

 このように、株主資本主義がグローバルのビジネスの舞台で大きな転換点を迎えている中、レスポンシブル・ビジネスの注目度が高まっており、大手欧米企業を中心に、M&Aをうまく活用し自社のレスポンシブル・ビジネスの推進を加速させている企業が出始めてきている。本稿では、まずはレスポンシブル・ビジネスとは何かをご紹介した後に、レスポンシブル・ビジネスの為のM&Aを実行する上での実務上の留意点を伝統的なM&Aの場合と対比しながらご紹介したい。

レスポンシブル・ビジネスとは何か?

 皆さんは「レスポンシブル・ビジネス(責任ある企業活動)」というキーワードを耳にしたことはあるだろうか。その意味するところを一言で表すと「企業が社会課題の解決への貢献と自社のビジネスを両立させるための取り組み」となる。すでに耳馴染みのある「CSR(企業の社会的責任)」や「ESG(環境・社会・ガバナンス)」と何が違うのかと訝る向きもあるかもしれない。これらのキーワードには、

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