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[【企業変革】ポストコロナ時代の経営アジェンダ ~ ゲームのルールが変わる瞬間 ~(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)]

(2020/11/12)

【第5回】M&A・事業再編

汐谷 俊彦(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員)

国境をまたぐ新たな出会いは減っている

 このコロナ禍において、M&Aの実務の現場では、リモート会議を介してマネジメントインタビューや、デューデリジェンスを進めるケースが増えているわけですが、特にクロスボーダー案件においては、実質的に国境を越えた移動が不可能になっている中で、かなり推進が難しくなっています。工場や店舗などの現場を直接みることなしに買収の決断に至る、ましてや「経営者と、一度も会わずに買収の意思決定ができるのか」というのはかなり大きなチャレンジです。従前より対象となる企業の経営者と面識があり、一定程度、理解できている企業であれば買収契約に至ることもありますが、そうでない場合はかなり難しいと言わざるを得ません。

 事実、2020年上半期(1-6月)における日本企業M&Aの状況は18年ぶりの低水準で2.9兆円(出所:レコフデータ)となっており、海外の大型買収が大幅に減少しています。第3四半期(7-9月)に入ってからは、ソフトバンクグループ傘下の英アーム売却、セブン&アイ・ホールディングスの米スピードウェイ買収、ウットラムによる日本ペイントホールディングス買収など1兆円を超える大型案件が相次ぎましたが、いずれも勝手知ったる仲間内で、コロナ禍以前から一定の計画がされていたM&Aと推測されます。


ポストコロナの成長を見据えて、今こそ買収に向けてしたたかに備える

 
現在の海外M&Aの状況は、従前から計画しており、実行しようとした矢先にコロナ禍に見舞われたため一度、立ち止まったところ、ある程度状況も落ち着いてきたので再開したところ、という段階でしょう。成長につながるような新たなM&Aを見つけにくい状況はしばらくの間続くのではないか、当初想定したよりも相当程度長引くのではないかということです。世界の経済状況を見ても、唯一中国はすでにほぼ日常を取り戻しているものの、欧州では2度目のロックダウンという事態になっており、この冬の状況は予断を許しません。

 まだまだトラベルの見込みも立たないこういったタイミングだからこそ、ゲームプランを練り直す絶好のタイミングです。

 海外M&A成功の要諦は買収プロセスに至る前の入念な準備です。つまり対象会社のことを従前よりよく研究し、買収後の青写真を描き切ったうえで、買収プロセスに入ることがポイントです。掘り出し物が突然でてきたと手を出すと多くの場合が失敗に終わっています。「相場が下がった今こそ」という逆張り投資も失敗しがちです。ここは自社の成長戦略を振り返り、対象会社の洗い出し、調査・分析をひそかに進めておくことが、ポストコロナの成長につながるのではないでしょうか。

事業ポートフォリオ変革・事業再編はさらに加速する

 一方で事業売却は主体的に準備することができます。コーポレートガバナンスコードの浸透もあって、事業ポートフォリオの入れ替えによる最適化、ないしは事業売却に対して後ろ向きのイメージは減ってきており、むしろ資本市場からは評価されるケースの方が多くなってきています。

 コロナ禍か金融危機かにかかわらず、いわゆる危機においては優勝劣敗が進むことは間違いありません。地方銀行、自動車サプライヤー、旅行・ホテル・外食などの業界においては待ったなしです。同業の買収合併に限らず、いわゆる多角化した大企業にとっても、事業ポートフォリオ最適化の絶好の機会であり、それを後押しする理由は大きく3つあります。...

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

■筆者略歴

汐谷 俊彦(しおたに・としひこ)
外資系コンサルティング会社等を経て現職。製造業/テクノロジー/エネルギー/化学/ヘルスケア/商社など幅広い業界に対して成長戦略策定、事業ポートフォリオ見直しといった戦略面での支援や、M&A戦略策定に始まり、デューデリジェンス、PMI計画策定および実行支援・買収後のオペレーション改善といったM&Aライフサイクル全領域において幅広い経験を持つ。特にクロスボーダーM&Aやカーブアウト買収といった複雑で難易度の高い案件を数多く手掛けている。また、日系企業による海外企業の買収を契機に、その後のグローバル化に向けたトランスフォーメーション支援や、買収後の海外企業のターンアラウンド、ガバナンス改革などの案件も支援している。東京大学工学部卒。

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