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(2020/03/12)

新型コロナウイルスが突き付けた“不確実性のマネジメント” 

~想定外のグローバルリスク・危機にどう備えるか

村崎 直子(クロール・インターナショナル・インク シニアアドバイザー、株式会社ノブリジア代表取締役)
  2020年は庚子の年であり、局面が変わる年という意味を持つともいわれますが、過去の歴史をさかのぼっても、後漢の滅亡やアヘン戦争、関ヶ原の戦いなどのそれぞれの国での歴史的転換点ともいえる騒乱が数多く起きた年ともいわれています。安倍総理も年始の記者会見において、庚子の年であることを強調しつつ、「やるべきときには、戦わなければいけない」「改革にしろ、とにかくやるべきときにはしっかりと決断して、新しい時代を切り拓いていく、こういう決意が必要なんだろう」と述べていました。皮肉にも、その直後から、まさに世界の局面が変わるようなことがメディアをにぎわせるようになりました。新型コロナウイルス問題です。政府や国際機関の発表を含め、状況が日々刻々と変わるという状況で、企業も対応に苦慮しています。本稿は、この新型コロナウイルスによる政府の対応あるいは個別企業の対応について云々するものではなく、こういった不確実性の高い危機に対して、企業はどう備えるべきかという点について考察してみるものです。

1) 不確実性(Uncertainty)とリスク(Risk)

  想定外の危機、言い換えると不確実性の高い危機は事前に対策ができるものでしょうか。学術的には、不確実性(Uncertainty)は厳密にはリスク(Risk)とは意味が異なるとされています。リスクが発生確率を予測可能なものであることに対して、不確実性とは、発生確率が予測できない、制御できないものを言います。リスクマネジメントの分野では、リスクそのものを洗い出し、その発生可能性や発生した場合のインパクトの大きさなどを定量化した上で、定量化した結果に応じて優先順位をつけてリスク対応をしていくのが定石ですが、不確実性の世界では、こういった定量化自体が難しいため、あらかじめ予測した上で優先順位をつけて対応していくことが難しいということになってしまいます。しかし、だからといって不確実性の高い事象について後回しにしておいてしまうと、いざ事が起きてしまった場合に企業の事業継続に大きな影響を与えることになり兼ねません。今回は不確実性の高い事象について、従来のリスクマネジメントや危機管理に加えて何を検討すべきかという視点で考えてみたいと思います。

 なお、本稿では紙面の都合もあるので、基本となるリスクマネジメントやBCP(事業継続計画)の具体的な手順について詳細に述べることはしませんが、日頃リスクマネジメントやBCPに接する機会のない読者も多いかと思いますので、まずは簡単に、BCPの基本的な部分について触れておきたいと思います。

2) BCP(事業継続計画)と防災計画

 BCP(事業継続計画)とはBusiness Continuity Planの略であり、地震や台風などの自然災害、今回の新型コロナウイルスのような感染症や大規模事故などの重大事象が発生しても、企業が重要な事業を中断させない、または中断したとしても可能な限り短い時間で復旧させるための方針や体制、手順を示した計画のことを言います。他方、多くの企業が防災計画も持っているかと思いますが、これは、事業継続よりも、従業員(人の命)や会社の資産を守ることを目的としたものです。また、防災計画は災害に特化したマニュアルですが、BCPの場合には、自社の不祥事や事故など、事業が中断する可能性のあるすべての事象を対象としているところに大きな違いがあります。企業によっては、両方を合わせた総合的な危機管理計画を準備…



■ クロール・インターナショナル・インク

■筆者経歴

村崎直子(むらさき・なおこ)
クロール・インターナショナル・インク シニアアドバイザー。
株式会社ノブリジア代表取締役
大学卒業後、警察庁に入り、静岡県警捜査第二課長、兵庫県警外事課長を歴任。2008年ベイン・アンド・カンパニー・ジャパンを経て、10年クロール日本支社に入社。M&A時のデュー・ディリジェンス、企業の不正調査やリスクマネジメント業務を数多く手掛ける。15年同日本支社代表を経て、18年9月より現職。京都大学法学部卒業、ハーバード大学ジョン・F・ケネディ行政大学院修士課程修了。 

 


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