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[M&A戦略と法務]

2020年10月号 312号

(2020/09/15)

M&Aにおけるアドバイザー費用の損金算入性と税務調査における対処法

内海 英博(TMI総合法律事務所 パートナー 日本国及びNY州弁護士/日本国及び米国公認会計士)
1. はじめに

 M&Aにおいては、法務面の知識のみならず、税務面の知識も必須である。数十億円あるいは数百億円単位の納税の要否が問題になることが少なくないからである。私はこれまで様々なM&Aに法的及び税務的側面を有機的に結合させる形で関与してきた。また、M&A自体には関与していないが税務当局とのトラブルになって初めて関与した案件も多くある。以下、これらの経験を踏まえて、アドバイザー費用の損金算入性と税務調査における対処法に焦点を当てて、以下詳述する。


2. 関連する法令・論文・裁決

 M&Aに関する税務調査において当局がよく指摘する事項として、フィナンシャルアドバイザー(FA)その他外部専門家費用の損金処理の否認が挙げられる。M&Aにおいては、アドバイザー費用が高額になることが多いが、この費用が損金算入できないと、当該企業の節税に大きなインパクトを与えることになる。

 株式購入の際の附随費用の税務上の取り扱いは、法人税法施行令第119条第1項第1号に「有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算」する旨の抽象的な記載があるのみで、具体的な取り扱いについては、通達にも記載がない。これは、附随費用を取得価額に含めるか否かは、個々の案件ごとにその都度判断するしかないためであると考えられる。

 この点につき、元国税不服審判所部長審判官・元東京国税局調査第三部長である成松洋一氏は、「M&Aによる株式等の取得に際して要する費用の損金性」税務通信3352号) (以下「成松論文」という)において、以下の様に述べられている。また、幾つかの類似の裁決も同趣旨の判断をしている。

 「子会社化するため他の企業の株式等を取得する場合、外部のアドバイザー等に支払うデューデリジェンス費用や仲介手数料については、株式等の購入の意思決定をした後に発生するものは、株式等の購入のために要した費用として、その株式等の取得価額に含めます。これに対し、株式等を取得するか否かの意思決定の参考にするためのいわば予備的デューデリジェンスの費用は、取得価額に含める必要はないというのが基本的な考え方です。購入の意思決定前であれば、結果として購入しないこともあり得るし、まだ個別の株式等に対応させ紐付けできる段階の費用ではないと考えられるからです。実務上は・・・取得関連費用のどこまでを取得原価の範囲とするかという微妙な問題があります。それは上記のような税務上の基本的な考え方からすれば、「株式等の購入の意思決定」をしたのはいつの時点をいうのか、ということになってきます。この点、基本的には、会社として経営会議等において最終的な意思決定をした時ということになりましょう。」

 この成松論文によると、経営会議等で最終的な意思決定をする前のデューデリジェンス費用は、

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