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[M&A戦略と法務]

2021年4月号 318号

(2021/03/15)

カーブアウト型M&Aにおける法的留意点

十市 崇(TMI総合法律事務所 パートナー 弁護士)
福田 輝人(TMI総合法律事務所 弁護士)
第1 はじめに

 近時、上場会社が子会社や一事業部門を切り出し、投資ファンドや同業他社等へ売却する、いわゆるカーブアウト案件が増加している。具体的には、1985年以降2020年10月までの約36年間の上場企業の「買い」(上場企業の合併、買収、事業譲渡の合計)の件数は1万5792件、金額合計は141兆8698億円にのぼる。これに対し、上場企業の「売り」(カーブアウト系)は、7048件、35兆8818億円で、件数で2.2倍、金額で3.9倍の差がついている。それでも、2020年の件数は10月までで「買い」が529件に対し、「売り」が324件で、その差が1.6倍、205件に縮まっている(例えば、「『データを読む:上場企業の売却(カーブアウト系)動向(2)』12%増。政府が事業構造改革後押し」本誌2020年12月号・314号(2020年11月4日)参照)。

 本稿は、近時増加しているカーブアウト型M&A(定義は第2の1.参照)について、その特徴とスキーム、法務デュー・ディリジェンス及びM&A契約の3つの観点からの留意点について、売主が保有する対象会社の株式を承継対象とするM&A(以下「株式譲渡型M&A」という)との対比も交えつつ、整理したい。なお、製造業等の会社が売主となってカーブアウト型M&Aを行う場合、海外事業のカーブアウトも必要となり、これに伴う法的留意点等も生じるが、紙幅の関係から、本稿は国内事業のカーブアウトに際して生じる法的留意点に焦点を当てる。


第2 カーブアウト型M&Aの特徴とスキーム

1. カーブアウト型M&Aとは

 カーブアウト型M&Aは、一般に売主である法人の一事業部門等(個別の資産、負債等)を承継対象とする点で、株式譲渡型M&Aと異なる特徴を有する。カーブアウト型M&Aは、承継対象が一義的に確定していないこともあり、会社分割又は事業譲渡等の手法による切り出しを経て初めて承継対象が確定することもある点で、株式譲渡型M&Aと異なる特徴を有する。なお、実務上、売主の一事業部門が切り出された後の承継会社の株式が承継対象となることも多いが、法的留意点としてはカーブアウト型M&Aの特徴が当てはまるため、本稿ではカーブアウト型M&Aとして取り扱うこととする。

2. カーブアウト型M&Aの特徴

 法的観点から見た場合、株式譲渡型M&Aとカーブアウト型M&Aの大きな相違点は、

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