[M&Aトピックス]

(2020/10/29)

第14回M&Aフォーラム賞が決定―M&Aフォーラム賞『RECOF賞』などに4作品を選定

さらなるM&A業界の活性化に貢献すべく、M&A活動の普及・啓発とM&A人材育成活動を展開

 また、M&Aフォーラムの落合誠一会長(東京大学名誉教授)は、同フォーラムの活動について次のように述べた。

落合氏
「私ども『M&Aフォーラム』は、2005年に内閣府経済社会総合研究所のM&A研究会で設立が提唱され、民間ベースのフォーラムとして発足しました。この間、我が国におけるM&A活動の普及・啓発を図り、あわせてM&Aに精通した人材の育成を目指して、『M&A人材育成塾』、『M&Aフォーラム賞』の二つの事業を柱として、地道な活動を続けて参りました。

 『M&A人材育成塾』は、ご活用いただいた企業数が延べ1,000社を超え、受講された方は延べ1,500名に達しております。昨今、M&Aを学べる研修・セミナーは増えておりますが、M&A各分野の実務に携わる第一線で活躍中の講師の解説は臨場感に富んで大変、好評です。

また、M&A実務の基礎を学ぶ『M&A実践実務講座』に加え、昨年11月には『M&A実践実務講座』の上級・応用編である『M&Aリーダーシップ・プログラム』も開講しております。

 もう一つは、今回14回目を迎えました『M&Aフォーラム賞』です。我が国のM&Aの普及啓発に資する優れた書籍、研究論文に対して表彰する制度です。毎年実施してまいりましたが、前回第13回までに48作品の書籍・研究論文が顕彰されました。本賞には我が国のM&Aの実情を反映した作品の応募があり、受賞作品を一覧すると我が国のM&Aの発展状況が判ります。M&Aは、法律・経済・経営・会計・税務・社会・文化等多様で広範な分野と関係しますが、M&Aをテーマとして、継続的に実施されている懸賞論文制度は唯一無二のものとして自負しております。

 岩田一政選考委員長のもと、選考委員会において、毎回、厳正なる審査が行われており、また、これまでと同様、いずれも大変レベルの高い作品であったと聞いております。特に今回は僅差での評価となり、いずれも甲乙つけがたく、例年以上に選考委員の先生方を悩ませたそうです。お忙しいところ、岩田委員長を始め、審査の労を賜りました選考委員の先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 これまで、M&Aフォーラムは日本のM&Aに貢献してきたわけですが、コロナ危機の中、日本企業が今後も発展を果たすためには、様々な対策を講じなければなりません。その中でM&Aは、これまでにも増して有力な手段になるだろうと思われます。このため、M&Aフォーラムとしましても、『M&A人材育成塾』などの活動を通じて、人材育成により企業の『M&Aリテラシー』を高め、さらなる業界の活性化に貢献してまいりたいと思っております。

 私どもM&Aフォーラムは、今後も着実に実績を積み上げてまいります。皆様には、本フォーラムの趣旨をご理解賜り、より一層のご支援の程お願い致します」

受賞者の言葉

 受賞者は、それぞれ次のように喜びの言葉を述べた。
【受賞者の言葉】

■ M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』 

 岩崎 康大 氏(日本生命保険相互会社 証券管理部 副主任)
 池田 直史 氏(日本大学法学部経営法学科 准教授)
 井上 光太郎 氏(東京工業大学工学院 教授)

池田氏
岩崎 康大 氏池田 直史 氏井上 光太郎 氏
 
「このたびは大変栄誉あるM&Aフォーラム賞正賞・RECOF賞をいただきまして、岩田選考委員長をはじめとする選考委員の先生方、本稿の掲載機会を頂いた『経済研究』編集委員や査読者の皆様に心より感謝申し上げます。

 本稿は、従業員の法的保護と企業のM&Aを通した価値創造の関係という複雑で難しい問題に対し、一つの証拠提示を行えたものと考えております。従業員の法的保護の強い国の企業に対するM&Aでは価値創造が阻害されるという本稿の国際比較分析の結果は、日本のM&Aを考える上で一つの視点を提供していると考えます。

 本研究のような実証研究が、実務家の方々の視点でもご評価いただけたことは、研究者として大変勇気づけられます。本日はありがとうございました」

■ M&Aフォーラム賞『RECOF奨励賞』
 天野 良明 氏(京都大学大学院経済学研究科)

天野 良明 氏

 「このたびは、M&Aフォーラム賞奨励賞(RECOF奨励賞)を頂戴し、誠にありがとうございます。選考委員の先生方、並びに関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

 受賞作品は、M&Aの際に発生する「負ののれん」の会計処理をテーマとしています。現在の日本の会計基準では、負ののれんは発生期の利益として計上されますが、本稿ではこのような会計処理が妥当なものかどうかについて検証をしています。

 まだまだ修行中の身ではございますが、引き続きM&Aと会計についての研究に取り組んで参りたいと思います。どうか今後ともご指導、ご鞭撻を頂戴できますようお願い申し上げます」

■ M&Aフォーラム賞『RECOF奨励賞』
 木俣 貴光 氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)

木俣 貴光 氏

「このたびは大変栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。8年前(第6回)にも実務小説『企業買収』で同賞をいただいたのに続いて2度目の受賞となり、感慨もひとしおです。

 弊社は、M&Aのエグゼキューションのみならず、M&A戦略の立案からPMIまで一貫したM&Aサービスの提供をモットーにしておりますが、お客様より「持ち込み案件に対応するだけでなく、プロアクティブにM&Aに取り組みたい」とのご相談を多くいただくことがきっかけで本書を執筆いたしました。

 本書を通じて、M&Aを活用した日本企業の成長に少しでも貢献できれば幸いです。岩田委員長をはじめとする選考委員の皆様方には改めて感謝申し上げます」

■ M&Aフォーラム賞『RECOF奨励賞』

 小川 周哉 氏(TMI総合法律事務所 パートナー弁護士)
 竹内 信紀 氏(TMI総合法律事務所 パートナー弁護士)

小川 周哉 氏竹内 信紀 氏

 「このたびは大変名誉ある賞をいただき、心より御礼申し上げます

 本書は、我が国の産業界が、オープンイノベーションの名の下に、自社内の研究開発だけでなく外部の技術やビジネスシーズを探求する方向へと大きく変化する時期にあることを踏まえ執筆させていただきました。なるべく平易な表現で、エクイティ投資の「なぜなのか、どうしてそうなるのか」という疑問、本質を記述することを心がけたためか、スタートアップやベンチャーキャピタルはもちろんのこと、CVCをはじめとする事業会社においても広く活用いただいていると聞いており、著者一同大変嬉しく思っております。

 これからも、条項例や法律の解釈論だけでなく、投資やM&Aに関する基本的な知識を広く理解してもらえるような書籍を著していきたいと思います。このたびは、本当にありがとうございました」
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