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[ポストM&A戦略]

2015年6月号 248号

(2015/05/20)

第78回 PMI再考:海外買収先のグループ統合(中)

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)

  前回はこのシリーズの序論として、なぜ買収後の統合が避けることができないものであり、またなぜ買収後の統合が難しくて大変なのかについて解説した。今回はこれを受けて、統合のパターンを整理して論じたい。最終的なポイントは、「拙速になるのでも様子見をするのでもなく、最適な統合のタイミングを仕掛けて作り出す」ということである。

統合にはどのようなパターンがあるのか

  統合(Integration)という言葉は、いろんな概念を包含しうる便利な言葉であるが故に、何を指して統合と言っているのか、時に話がかみ合いにくい。もしかしたらその典型は、すっかりビジネス界で市民権を得たPMI(Post Merger Integration)なのかもしれない。
  買収後の統合の姿は、ディールロジック、つまりその買収を行う眼目あるいは大義名分からかなり明確に読み取れる。まず、理屈の上で最も軽度な統合は、買収先を買い手グループ内で極めて独立性の高い会社として維持し、当面(つまり次の大きな動きがあるまで)は、健全な会社経営が行われていることを担保する目的でガバナンスを効かせれば、それだけで済んでしまう場合であろう。
  買収先を極めて独立性高く維持できる、ということは、グループの既存事業とほとんど関係がないけれども、何らかの思惑があって投資した、ということである。かつては、グローバルな多角化戦略をM&Aによって大々的に推進した時代もあった。しかし、経験を積む中で、「買い手のコア事業あるいはその周辺事業(Adjacency)を買収するのでなければ、ただでさえ難しいM&Aの成功はさらに難しい」とする評価が定着した感がある。グローバルで戦略的な事業売却が当たり前になっているのも、この事業の選択と集中の動きの一環である。
  従って、今では純粋にこの類型に当てはまる案件は、あまりないとみてよいだろう。あるのは、買い手グループ内で果たす役割が明確に期待され、組織こそ独立のままであるが、グループ内ではしっかりした連携が求められる場合である。
  図1の上段では、買収先が原型をほぼ留めたまま、買い手社内あるいはグループ内において重要な役割を果たすパターンを挙げている。一つは、独立性が最も高い1) スタンドアロン(Stand-alone)であり、もう一つは、買い手の既存組織に吸収されているが、買収先の主要組織はほぼそのまま残っている2) 内包(Subsume)である。
  これに対して図1の下段では、ディールロジック上、組織の統合が不可避な場合を挙げている。一つは、スケールメリットと機能の一元運営の追求を眼目とする3) 分解・統合であり、もう一つはプロジェクトに代表される仮の組織を卒業して正式な組織に移行する4) 分解・再編である。

(図1)M&A後の統合の最終形(Integration)

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