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2018年3月号 281号
(2018/02/15)
全体動向
日本企業のイノベーション創出に向けて、ベンチャー企業へのM&Aが活発化している。2017年は880件と、前年の447件からほぼ倍増した。M&A全体の28.9%を占めている(図表1参照)。レコフデータがベンチャー企業へのM&Aの集計を開始した2000年以降で最多を記録。また、2013年の176件以来、5年連続での最多更新となった。さらに、2012年の88件と比較すると、この6年間で10倍に拡大したことになる。
880件のマーケット別内訳はIN-IN660件、IN-OUT171件、OUT-IN49件で、IN-INが75.0%を占める。前年の319件から倍増した。
金額も1兆9370億円と、前年の6114億円から3.1倍に拡大し、集計以来、最高となった。マーケット別内訳はIN-IN2036億円、IN-OUT1兆7147億円、OUT-IN187億円で、それぞれ前年比2.0倍、3.3倍、3.9倍に増加した。全体に占めるシェアはIN-OUTが88.0%と圧倒的に多い(図表2参照)。
金額上位は1位から14位までIN-OUTの案件で、トップは、ソフトバンクグループによる中国のタクシー配車サービスベンチャー、滴滴出行の持株会社への出資拡大で5500億円(50億米ドル)。2位は同じくソフトバンクグループによる米オフィスシェア大手のウィーワークへの資本参加で3282億6000万円(30億米ドル)。3位は田辺三菱製薬によるイスラエルの中枢神経系治療薬研究開発ベンチャーのニューロダームの買収で1241億円(11億1700万米ドル)。4位はアステラス製薬によるベルギーの創薬ベンチャーのオゲダの買収で最大約956億1600万円(8億ユーロ)、5位はソフトバンク・ビジョン・ファンドによる中国のインターネット保険ベンチャーの衆安保険への資本参加で636億2200万円(約42億9300万香港ドル)と、ソフトバンクグループによるグローバル戦略加速に向けた先端技術投資や大手医薬品メーカーによる医薬品ベンチャーへの投資が上位を占めた(図表3参照)。
金額上位20のうち、ソフトバンクグループの投資案件が11件も入った。
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