[視点]

2013年12月号 230号

(2013/11/15)

会計論争「のれんの償却」を考える

 中島 康晴(新日本有限責任監査法人 シニアパートナー 公認会計士)
  • A,B,EXコース

  企業会計基準委員会(ASBJ)は2013年9月13日、「企業結合に関する会計基準」(改正企業会計基準第21号)を公表しました。議論が多い「のれんの償却」については現行の償却処理を継続することとして改正の対象とはなっていません。この「のれんの償却」という会計ルールについて根本的に考えてみたいと思います。

  ご存知のように、日本の会計基準においては、「のれん」は20年以内の期間における定期償却が義務付けられています。つまり、のれんの発生源泉は、企業買収により買収先会社(事業)の将来キャッシュ・フローを取得したことによるわけですから、そのキャッシュ・フローの実現に合わせる形で、この買収コストの塊である「のれん」を費用化(償却)していくというのが現行ルールであるわけです。しかし、この「のれん」の定期償却をしないというのがIFRSの考え方です。この理論的根拠についても諸説あり、日本基準の考え方との相違点等が整理できません。同じ観点での比較議論が十分になされずに議論が噛み合っていないというのが私個人の印象です。よって、ここでは少し別の角度から検討を加えてみたいと思います。なお、全て私の個人的な見解です。

  まず、企業会計の常識、基本中の基本ともいえる話から入りましょう。「減価償却」についてです。

  

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