M&A専門誌マール 2021年12月号 326号(2021/11/15発売)

特集: M&A関連法制と実務の最新動向[2021年版]

 本特集座談会「2021年の企業法制の振り返りと論点」は、二部構成となっている。第一部では、弁護士・武井一浩氏に、5月の令和元年改正会社法の施行、プライム市場の創設による市場構造改革への対応、コーポレートガバナンス・コードの改訂など、2021年のM&Aに関連する企業法制の重要な動きを整理していただいた。「サステナブル」、「デジタル」が大きなテーマとなり、さらにいろいろな角度から議論が広がるなかで「サステナブルな資本主義」に関する議論が活発化し定着した1年であったと総括したうえで、第二部では同氏の司会・進行のもと、立教大学の松井秀征氏、成城大学の山田剛志氏、日本証券経済研究所の石川真衣氏にお集まりいただき、「サステナブルな資本主義(新しい資本主義)と上場企業法制をめぐる議論」と題してご議論いただいた。
 武井氏より、「株主最優先主義対ステークホルダー資本主義」といった資本主義を再定義する議論、株主構造の変化、株主総会/ボード/マネジメントの役割・権限分配論、株主間の公正性など、企業法制を中心とした論点が幅広く取り上げられ、これらに対して各氏から欧米、特にドイツ、フランス、アメリカの上場会社法制を巡る動きやEUにおける透明性向上の制度的措置の動向などについて解説後、活発な議論が行われた。欧米と比較して、我が国の上場会社法制が、あまりにもアクティビストに対して無防備であり、日本の会社法制はここまで潔い会社法ではたして大丈夫なのか、といった重要な論点があぶり出されている。
 今後議論が深まることが予想される。全体としてボリュームがあるが、この機に是非ご一読いただきたい。(本対談はオンラインで実施しました。)

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