はじめに M&A入門連載第4回である今回からは、M&Aの
エグゼキューションについて、第6回まで
3回にわたって解説していきます。
M&Aと聞いて多くの方々がまず思い浮かべるのは、条件交渉や価格算定が含まれるエグゼキューションのシーンではないかと思います。M&A取引の関係者は、M&A取引が成立するまでは情報の秘匿性を確保することを重要視しますので、どんなM&A取引が水面下で動いているのか、ディールの最中に報道されることはほとんどありません。またM&A取引に関与する
財務アドバイザー(「フィナンシャル・アドバイザー」や「FA」とも呼ばれます)や、弁護士、会計士や税理士、コンサルタントといった専門家は、クライアントである買い手に守秘義務を負っていますので、M&A取引においてどのような動きがあったかについて、自ら情報開示することはまずありません。したがって多くの方々が思い浮かべるエグゼキューションのシーンとは、実のところはヴェールに包まれた世界なのではないでしょうか。第4回は、このエグゼキューションの一般的な流れについて説明します。エグゼキューションの中でも、まさに一大作業といえるバリュエーション、
デューデリジェンス(以下「DD」といいます)については、それぞれ第5回、第6回で掘り下げて解説します。