[M&A戦略と法務]

2013年10月号 228号

(2013/09/15)

ミャンマーにおけるM&A

 行方 國雄(TMI総合法律事務所ヤンゴンオフィス代表 弁護士)
  • A,B,EXコース

第1 はじめに

  東南アジア最後のフロンティアとして注目を浴びているミャンマー。2011年3月、テイン・セイン大統領が率いる現政権が民主化及び開放政策を採用して以降、その政治、経済及び社会は急速に変貌を遂げつつある。2012年には欧米の経済制裁も停止または一部緩和され、同年11月にはオバマ大統領が、2013年5月には安倍首相が訪緬する等、ミャンマーを巡る各国の駆け引きも活発となっている。

  このようにミャンマーが世界の注目を浴びる理由としては、豊富な天然資源、人口の多さ(労働人口は約2800万人と言われている)、安い人件費、その地政学的な重要性などが指摘されている。

  しかし、2012年10月から実際に弊ヤンゴンオフィスを開設して以来、当地にて見聞を深めている限りでは、外国企業によるミャンマーへの本格的な投資は未だしの感が強い。電気、通信をはじめとするインフラの未整備は大きな障害であり、法制度の整備も不十分であって、本格的投資を躊躇させている。ヤンゴンに進出済みの日系企業が加盟するヤンゴン日本人商工会議所の会員数も、最近になり漸く100社を超えたに留まり(但し増加率は急増している)、しかもこの中で情報収集を主たる業務としている会員の数は少なくない(注1)。

  他方、ミャンマー政府が、インフラや法制度の整備その他開放政策の推進を急速に進めていることも事実であり(注2)、長く続いた鎖国状態からの脱皮を比較的短期間に成し遂げる可能性はある。とりわけ、日本については、ティラワ経済特区プロジェクトをはじめ官民一体となった支援を行っており、ミャンマーの重要性は高まり続けるものと思われる。

第2 M&Aの手法について

1 会社の種類

  後記のとおり、ミャンマーにおいては、外国人による株式保有が認められていない種類の会社が存在することから、最初に、ミャンマーにおける会社の種類につき触れておきたい。

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