第一 はじめに 昨年一二月、法務省が「第三者割当増資により利益が縮小しかねない既存の少数株主の保護に向け、会社法改正の検討に入った」との報道がなされた(注1)。「新株発行の際に株主総会の決議を義務付ける方向だが」、「破綻が懸念される企業の救済目的の場合は例外扱いとするほか、発行済み株式数に占める新株発行の割合が一定以下の場合は規制対象から外す方向」とのことである。また、その報道の二日前にも金融審議会の研究会が「上場企業の資金調達ルールを見直す議論を始め」、原則として取締役会決議のみでできる第三者割当増資について「株主の利益を損ないかねない資金調達を制限する方向で検討が進む見通し」、「金融商品取引法の改正などを検討する」との報道がされた(注2)。