M&A専門誌マール

2015年10月号 252号 : M&A戦略と法務

M&Aを成功させる(現地法人のDDとガバナンスのあり方) 有料記事です

 中川 秀宣(TMI総合法律事務所 弁護士)

1.M&Aでは必然的に将来収益を現状よりも改善する必要に迫られる

  M&Aでは対象会社/対象事業の売買価格は売手と買手との交渉において決定されるため、その時点における経済情勢といった環境に左右される。そして、昨今は先進国での金融緩和の流れから売手市場である。売手の立場から何故この時点で売るかを考えた場合、会社が経済的に行き詰っているためにスポンサーを探す必要があって売却に走っているというケースよりは、売手が会社/事業は今が売り時であると考えて換金を急いでいるケースが増えていると推測される。後者の場合、会社/事業の収益性の伸びを考えるよりも、現時点でより多くのプレミアムを上乗せして売却できると売手は考えていることを意味する。結果的に、買手は、そもそも論として、通常のバリュエーションでの価格により多くのプレミアムを乗せた、高値掴みのリスクに晒されている状況にある。それでも、買手は事業拡大等の目的でプレミアムを払いM&Aを行うわけだが、買手は、将来収益にプレミアムを払う以上、買った時点で将来収益を現状よりも改善する必要に迫られることになる。そのため、多くの場合、M&Aを企画する段階から、対象会社/対象事業の収益の源泉の分析だけでなく、その維持と改善の方策建てを迫られる。

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