[マールインタビュー]

2009年4月号 174号

(2009/03/15)

NO.110 M&Aの拡大期に防衛策整備と会社のあり方を導く

経済産業省 北畑 隆生 前事務次官
  • A,B,EXコース

企業価値研究会の発足と成果

――企業価値研究会の生みの親です。

「私は二〇〇四年六月に経済産業政策局長に就任したのですが、担当課長から問題提起がありました。日本でもM&Aは増え、さらに会社法の大改正などでやりやすくなるが、攻める側と比べて守る側の制度が未整備だというのです。前年に起きたソトー事件がよい例です。ソトーは愛知・三河の日本的経営の典型的な優良会社です。無借金で約一五〇億円のキャッシュがあるのに時価総額が一〇〇億円程度しかない。プレミアムをつけてTOBをかけても、お釣りがくる。米国のスティール・パートナーズからTOBがかかると、経営者はどうしてよいか分からず、やむをえず配当を二〇倍近くにし株価を上げて撤退してもらった。その結果、キャッシュが何十億円も目減りした。高い授業料を払っただけで終わった。実はソトーのような会社は日本には多い。同じように内部留保吐き出しを目的とするファンドに狙われる心配がある。それで、守る側のルールづくりをしようというのが始まりでした。海外には米国型と欧州型の二つがあり、米国型のポイズンピル(ライツプラン)だと法律改正しなくてもできる。大事なのは関係者のコンセンサスづくりだということで日本でこの分野の権威と言われる大学教授、弁護士らに集まってもらい、同年九月、局長の私的研究会として企業価値研究会をスタートさせたのです」
 

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