[【バリュエーション】Q&Aで理解する バリュエーションの本質(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社)]

(2025/07/24)

【第10回】クロージング後の思わぬ会計インパクトにご注意を

- 取得原価配分(PPA)、のれんの償却・減損テストの理解を深める

佐田 和博(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 シニアマネジャー 米国ワシントン州公認会計士/不動産鑑定士)

(監修)
中道 健太郎(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 パートナー)
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Question
M&A実施後(クロージング後)の会計上の手続として、のれんの減損テストというものが存在するが、減損テストの対象となるのれんの金額はどのように定められているのだろうか。また、会計基準上、クロージング後に取得原価配分(Purchase Price Allocation、以下「PPA」)が求められるが、なぜこのような手続が必要なのだろうか。
M&A後(クロージング後)に求められる会計処理の理解

 これまで、本連載ではM&Aプロジェクト期間中の価格検討におけるバリュエーションの考え方を中心に取り上げてきたが、今回は視点を変えてM&A実施後(クロージング後)に焦点を当てていきたい。当然ながらM&Aはクローズして終わり、というものではなく、むしろクロージングを迎えてからが新たなスタートである。何を投資の成功/失敗と捉えるかは定義が難しいところであるが、M&Aをした企業で、内的/外的要因を問わず、取得検討時に描いていた計画に下方修正が生じてしまい、のれんに紐づく巨額の減損損失がニュースとして取り上げられることも残念ながら発生している。


■筆者プロフィール
佐田 和博(さた・かずひろ)
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 シニアマネジャー、米国ワシントン州公認会計士、不動産鑑定士。
2011年4月三菱UFJ信託銀行入社。不動産鑑定評価業務(工場・鉄道財団評価含む)、不動産マーケット分析業務および企業不動産(CRE)戦略立案業務に従事。2016年9月デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社に入社。M&A取引における株式価値評価業務のほか、取得原価配分(PPA)に基づく無形資産評価、棚卸資産および機械設備評価業務ならびに減損テスト関連評価業務といった会計目的評価業務に従事、現在に至る。

■監修者プロフィール
中道 健太郎(なかみち・けんたろう)
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 パートナー
トロント、ニューヨークでの監査経験を経て、1997年に来日。金融機関・金融商品・不良債権の評価、海外資源・インフラ案件の評価、機械設備の評価、訴訟・競争法関連の評価・証言を含め、幅広い業種・状況におけるバリュエーションサービスに従事、現在に至る。

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