[Webインタビュー]

(2014/10/08)

【第45回】中国独禁法は外資たたきか――最近の動向と日本企業の対応策について

 宮川 裕光(ジョーンズ・デイ法律事務所 弁護士)
  • A,B,C,EXコース

中国独禁法の特徴

―― 2014年8月、中国国家発展改革委員会(発改委)が日本の自動車部品メーカー12社(下記)に対して独占禁止法違反があったと認定し、10社に総額12億3540万元(約205億円)の制裁金を科すことを決めました。12社はワイヤーハーネスなど電装部品、ベアリングなど機械部品の販売で長年にわたり価格カルテルを結んでいたと認定したわけですが、この日本企業12社以外にも、欧米系フィアット・クライスラーの「クライスラー」、フォルクスワーゲン傘下の「アウディ」など欧米自動車メーカーに対しても制裁を科しており、さらにダイムラー「メルセデス・ベンツ」や日本の完成車メーカーも調査しているといわれます。こうした最近の中国当局の動きは国内産業保護を目的とした“外資たたき"ではないかとの報道まで見受けられます。そこで、独禁法がご専門の宮川先生に中国独禁法の最近の動向と日本企業の対策についてお聞きしたいのですが、まず中国の独禁法の特徴について教えていただけますか。

「中国の独禁法が施行されたのは08年8月ですが、中国の独禁法はEUの競争法をベースにしています。独占協定については、参加する主体別に横の独占協定(水平的独占協定)と縦の独占協定(垂直的独占協定)の2種類に分けることができます。横の独占協定とは、生産又は販売等の事業活動について同一の取引段階にある経営者間、例えば生産業者間、卸売業者間、小売業者間で結ばれる独占協定行為。縦の独占協定とは、生産又は販売等の活動について異なる取引段階にある経営者間、例えば生産業者と卸売業者の間、卸売業者と小売業者の間で結ばれる独占協定行為です。これはEUの101条に該当するものです。それから、市場支配的地位の濫用ということで、いわゆる私的独占行為を禁止しています。もちろん企業結合規制も、中国の独禁法の執行活動の主要部分を占めています。
 

この記事は、Aコース会員、Bコース会員、Cコース会員、EXコース会員限定です

*Cコース会員の方は、最新号から過去3号分の記事をご覧いただけます

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

スキルアップ講座 M&A用語 マールオンライン コンテンツ一覧 MARR Online 活用ガイド

アクセスランキング