[Webインタビュー]

(2014/12/17)

【第48回】ますます重要になる「グローバル人材」育成の仕組み作り

坂本 吉弘(日本国際実務研修協会 会長)
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異文化との交流が人を育てる

―― 弊社の「MARR M&Aデータベース」を見ても、近年、日本企業が海外市場に成長の可能性を見出すためのM&Aが増加しています。問題は海外企業を買収した後のガバナンスやグローバルなグループ経営ですが、そのための人材の育成が大きな課題となっています。日本国際実務研修協会(JIPT)は、日米間の学生・社会人の実務研修交流事業を行っておられますね。

「JIPTは、1990年から日米間の学生・社会人実務研修交流事業を推進していまして、これまでに3000人以上の日本人研修生を米国の企業・団体へ送り出して国際理解を深めることに努めています。

 おっしゃるように、企業のグローバル化が叫ばれる中、社員を海外に派遣し国際感覚を身につけて活躍する人材の育成に力を入れる企業が多くなっています。しかしビザは手続きが複雑で取得に時間がかかり、また法令の変更が多いため対応に苦慮されるケースが少なくありません。とりわけ、米国の場合は労働ビザを取ることが難しいという状況がありました。そこで、一定の条件のもと、米国内で合法的に研修することができる『J-1ビザ』*というものが作られました。この米国J-1ビザ研修プログラムに、『Train USA Program』というのがあります。米国最大の国務省認可団体であるCultural Vistas(CV)が実施するプログラムで、年間5000人を超える研修生を受け入れています。JIPTはこのCVとグローバルパートナー契約を結んでいる日本で唯一の団体になっています。

 またCVでは、国務省の米国青少年リーダーシップ養成プログラム(American Youth Leadership Program:AYLP)の一環として、日米分水嶺・水資源保全プログラム(Japan-America Watershed Stewardship Program:JAWS)も受託・主催しました。これは米国の高校生・教師に、日本と日本の人々、そして日本人が環境問題をどのように認識しているかについて学ぶ3週間のプログラムで、日本側の受入団体であるJIPTと共に当プログラムを実施しました。このプログラムに参加した高校生や先生に何が印象的だったかを聞きましたら、『People』だと言うんです。日本人は非常に親切で、友好的、温かく、町もきれいだと。最近『おもてなし』という言葉が流行っていますが、日本人のおもてなしの心を肌で感じてもらえたようです」

―― グローバル人材の育成には異文化との交流が大事ですね。

「グローバルに通用する人材とは何かと言うと、まず日本人であることについてのアイデンティティがしっかりしていないといけないし、他文化をよく理解し、それにシンパシーを感じる人でないといけないと思います。ヨーロッパ、アジア、中東、南米、アフリカなどに工場を作り、販売しようという時に、それぞれの地域や国の文化をしっかり理解することは不可欠です。しかし、それだけではなく、自分のホームグラウンドは日本であるという自覚を持つことも忘れてはいけません」


 

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