「分かりにくい経営統合」との印象広がる 2月6日に三菱商事・KDDIによるローソンへの資本業務提携が発表された。ローソン株式は既に三菱商事が50.1%保有しているが、KDDIの
TOBにより、三菱商事とKDDIがそれぞれ50%ずつローソンの株式を保有することが想定されており、ローソンは上場廃止となる見込みだ。ローソンはスリーエフやポプラ、成城石井、オイシックスなど、様々な切り口で業務資本提携を行ってきた実績がある。
プレスリリースなどによると、本件が狙う検討事例として、①auショップおよびローソン店舗による相互での商品・サービスの供給、②会員情報の活用によるローソンの集客強化、③グリーン領域での連携――などが挙げられている。
このM&Aに対する市場の反応は様々だ。KDDIは、通信事業の頭打ち感や巨額の利益剰余金を有することからかねて大型M&Aの可能性が注目されていたが、全く異業種のコンビニへの出資に至ったことについては、驚きと共に「シナジーが分かりづらい」との声がある。実際、過去のM&Aを見ても金融や通信が中心で、小売りへの進出の意図が見えにくい(図表)。また、三菱商事との出資比率が50%ずつと均等であることについても、主導権がどちらにあるのかが不透明との印象を与えている。
なお、総合商社とコンビニの連携との観点では、伊藤忠とファミリーマートも同様だ。しかし、伊藤忠は2020年にファミリーマートを実質的な完全子会社としている。伊藤忠はマーケットイン戦略という経営戦略を掲げ、川下への関与を拡大している。伊藤忠の場合は一貫性のある経営戦略の中での一手として理解できる。一方、今回のローソンの対応はファミマとは「正反対」であることも、評価を困難にしている。
KDDI側のシナジーは何か?