中小M&Aガイドラインは、2020年3月に初版が策定されており、2023年9月の第2版への改訂に次いで今回が2度目の改訂となる。
不適切な買い手側の存在や経営者保証に関するトラブル、M&A専門業者の過剰な営業・広告等の課題に対して、今回の改訂により中小企業向けのガイダンスおよび仲介者・
FA向けの留意事項等が拡充された。
主な改訂点は、以下の7点である。
①仲介者・FAの手数料・提供業務に関する事項
②広告・営業の禁止事項の具体化
③利益相反に係る禁止事項の具体化
④ネームクリア・テール条項に関する規律
⑤最終契約後の当事者間のリスク事項
⑥売り手側の経営者保証の取扱い
⑦不適切な事業者の排除
具体的には、「①仲介者・FAの手数料・提供業務に関する事項」として、仲介者・FA向けに、手数料の詳細説明やM&A支援業務のプロセスごとの提供業務の具体的説明、担当者の保有資格や経験年数・成約実績の説明等を求めている。
「②広告・営業の禁止事項の具体化」では、仲介者・FA向けに、広告・営業先が希望しない場合の広告・営業の停止等を求めている。
「③利益相反に係る禁止事項の具体化」では、仲介者向けに、追加手数料を支払う者やリピーターへの優遇の禁止の明確化、これら禁止事項を行わない旨を仲介者の義務として仲介契約書に定めることが明記されている。
「⑥売り手側の経営者保証の取扱い」では、中小企業向けに、M&Aを通じた経営者保証の解除や買い手側への移行を確実に実施するための対応等について明記されている。
「⑦不適切な事業者の排除」については、売り手側の経営者保証を買い手側に移行させる想定であったにもかかわらず、移行しない等の不適切な買い手の存在が指摘されている。このため、仲介者・FA、M&Aプラットフォーマー向けに買い手側に対する調査の実施、調査の概要・結果の依頼者への報告を求めている。また、業界内での情報共有の仕組み構築の必要性等についても明記されている。
■経済産業省 「中小M&Aガイドライン」改訂