[【クロスボーダーM&A】ベトナム投資の基礎知識 [ベトナムマーケット概要](ワールディング)]

(2021/10/20)

ベトナムの鉄道業界

谷口 正俊(株式会社ワールディング 代表取締役社長)
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 ベトナムには、公共交通機関として普段使用するような路面電車や地下鉄が存在しない。南北に長いベトナムの北部(首都ハノイ)と南部(ホーチミンシティ)を結ぶ鉄道はあるものの、平均時速は50km/h未満のため、約1,600km(青森~博多(福岡)に相当)を33時間ほどかけて運行している。これに加えて、中国と結ばれている鉄道と合わせてもベトナム国内の鉄道の総距離は約3,100kmと、国土面積が近しい日本の約10%に過ぎない。


 国内の鉄道の輸送シェアは、1995年時点は旅客11.7%、貨物7.9%であったが、2018年には計3.0%にまで大幅に低下している。低下の要因としては、インフラ(電化区間がなくディーゼル、標準規格ではない線路幅)、車両の老朽化、投資資本不足等が挙げられる。今月、ベトナム鉄道総公社(VNR)が日本で1979~1982年に製造された中古のディーゼル気動車37両の輸入許可を首相に申請したという報道があったが、コストを重視する傾向が続いていることが見て取れる。さらに、都市部のバイク、バス、車が起こす交通渋滞や大気汚染の規模が拡大し、社会問題化している。特に大気汚染は2019年に、世界各国の約1万都市の大気汚染濃度に関するデータを提供するアプリケーション「AirVisual」が発表した大気汚染の程度を示す空気質指数(AQI)において、ハノイがインドネシアの首都ジャカルタを抜いて1位、ホーチミンシティが3位になるほどの深刻さを見せている。これらの問題を解決するために、南北間の鉄道の整備や、ハノイやホーチミンシティでの都市鉄道の整備が必要となっている。…


株式会社ワールディング


株式会社ワールディング
TEL:03-5361-6455

■筆者プロフィール
谷口正俊(たにぐち まさとし)
1973年イタリア・ローマ生まれ。
早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。
同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。
同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。
7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。
日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。
日本とベトナムを往復する日々を送っている。

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