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[【クロスボーダーM&A】ベトナム投資の基礎知識 [ベトナムマーケット概要](ワールディング)]

(2015/11/04)

ベトナムの中古機械業界

 谷口 正俊(株式会社ワールディング 代表取締役社長)

 日本商工会議所のベトナム経済ミッションが10月27日、ベトナム計画投資省との第3回協議会をハノイで開いた。日本の特に中小企業の進出を促すことを目的としたビジネス環境整備について、現地の日系企業代表やベトナムの関係省庁も交えて討議した。日本側は、懸案となっている査証なし入国要件、最低賃金、時間外労働の上限規制などについて改善を求めたが、中でも中古機械の輸入規制は強く訴えられた事項である。

 ベトナムの年間の輸入総額約13,200億ドル(2013年)のうち、約15%が機械設備の輸入額である。日本やドイツなどの先進国はもとより、中国などの近隣国からの輸入も盛んに行われている。ところが、2014年7月に「輸入する機械は使用期間が5年以内であること、かつ新品の80%以上の品質であること」という重大な通達(通達 20/2014/TT-BKHCN号)が発表された。

 同通達は、世界の廃棄された技術のごみ捨て場として時代遅れの機械設備が流入することを防止することが狙いであり、近代的でハイテクな機械を輸入することを政府として奨励したい気持ちの表れとされる。

 しかしながら、同通達は本社である日本や他の海外拠点から生産用の中古機械や設備を輸入するケースが多い現地進出日系企業に大きな影響が出ることが予想されるため、ベトナムにおけるビジネスリスクが極めて高くなり新規の工場建設などは冷え込む、裾野産業の育成を目指す方針と矛盾する、自社工場で使っている設備を自社のベトナム工場に持っていくため設備の品質は自社で保証できる、といった意見が相次いだ。こうした声は、ベトナムで操業する他の外資系企業や地場企業からも出ており、2013年にノキアを買収し携帯電話事業を中国からベトナムへ生産移管する計画の米国マイクロソフトが、本通達の適用対象から除外するよう科学技術省などに要請したほか、ベトナム国内の業界団体や中古機械輸入業者なども同省に要望書を提出するなど、先行きを懸念する見方が多かった。これらに対し、政府は同年8月の終わりに通達2279/QD-BKHCN号を出し、規制は一旦取り消し、2015年7月には「使用期間5年以内」を「10年以内」に、「新品の80%以上の品質」を「70%以上」に改めるなど通達内容を改定している。

 しかしながら日本側はなお不十分との立場だ。2015年10月に開催された協議会では、所管する科学技術省の担当者が(1)日本の要望を踏まえ、投資申請段階で「中古機械を持ち込む」と記載、(2)品質・性能が「ベトナムまたは先進7カ国(G7)の規格に適合」との書類を添付-などの条件を満たせば、年数規制の適用外になると説明したが、日本側は、新たに工場を建設する場合だけでなく、既存の製造設備への中古機械の持ち込みも認めてほしいと求めた。


株式会社ワールディング

株式会社ワールディング
TEL:03-5361-6455

■筆者プロフィール
谷口正俊(たにぐち まさとし)
1973年イタリア・ローマ生まれ。
早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。
同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。
同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。
7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。
日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。
日本とベトナムを往復する日々を送っている。


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