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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2020年3月号 305号

(2020/02/17)

第152回 国際課税関連の令和2年度税制改正と実務上の留意点

荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)
1. BEPS行動の勧告以後の国際課税関連の改正

 2015年10月にOECDよりBEPS行動最終報告書が公表され、BEPSプロジェクトの動向を踏まえて我が国でも国際課税制度の見直しが行われてきた。具体的には外国子会社よりの配当の益金不算入制度の見直し(平成27年度税制改正)、移転価格税制における文書化制度の導入(平成28年度税制改正)、外国子会社合算税制の抜本的な見直し(平成29年度税制改正)、恒久的施設の定義の見直し(平成30年度税制改正)、移転価格税制における所得相応性基準の導入(令和元年度税制改正)及び過大支払利子税制の見直し(令和元年度税制改正)等である(図表1参照)。

【図表1 BEPS行動と我が国における税制改正による対応】

【図表2 2019年6月のG20での国際課税アジェンダ】

 2019年6月に我が国で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議のうち国際租税に関する大臣級シンポジウムでは、国際租税のアジェンダとして、経済の電子化への対応や、税の透明性を高めるための情報交換に関する取組みの推進、税に関する協働のためのプラットフォーム(PCT)を中心とする税に関する能力構築支援の強化を図るべきことについて議論が行われている(図表2参照)。

 「経済のデジタル化に対する解決策は、企業間の公平な競争環境を整備し、わが国企業の国際競争力の維持及び向上につなげなければならない」ものとして策定される必要があり、「海外企業との公平な競争条件を確保し、わが国企業の健全な海外展開を支援するものとすることが重要である」と、与党の令和2年度税制改正大綱で我が国のとるべき方針が明らかにされている(注1)。

 事業利益に係る国際課税制度の枠組みを抜本的に変更すると考えられるデジタル課税の新たな枠組みは、2019年11月と12月の公開協議を経て、2020年2月上旬に中間報告書が、2020年末までには最終報告書が公表される予定である。現行の租税条約や国内法制の見直しは2021年以後の作業という事になるが、これまでのBEPS行動勧告による改正と異なり、政治的要素が極めて強いことから統一的な解決策の策定は予想以上の時間を要することも考えられる。


2. 令和2年度の国際課税に係る税制改正の概要

 BEPS行動に対応する我が国の国際課税の見直しは、概ね対応済みと考えられており、タックス・プランニングの報告義務(行動12)は、我が国の企業の税務実務に鑑みてか、直近の対応課題としては俎上に上げられていない。

 令和2年度の国際課税関連の改正としては、BEPS行動の勧告とは直接関連するものではないが、国際的な租税回避や脱税に対してより効果的に対応する観点から、子会社株式の譲渡等により譲渡損失を創出させる租税回避に対処するための見直し(子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応)や、非居住者に係る金融口座情報の自動的交換制度の見直しが行われている。

 外国子会社合算税制及び過大支払利子税制については、

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