[M&A戦略と会計・税務・財務]
2008年3月号 161号
(2008/02/15)
連載第9回目にあたる本稿では、財務面や事業面など、多面的な視点から行われる総合的なデュー・ディリジェンスである「戦略的デュー・ディリジェンス」について考察する。単に複数のデュー・ディリジェンスを組み合わせて実施するというだけなら「寄せ集め」であり、「戦略的」とは言えない。ポスト・ディールにも活かせるだけの多面的な知見をデュー・ディリジェンスから得ることが戦略的デュー・ディリジェンスであり、両者には違いがある。その核心は、「すりあわせプロセス」に着目することだ。「すりあわせプロセス」とは、複数のデュー・ディリジェンス・チームが、互いの作業が交差する領域において分担もしくは協力すべき事項を明らかにし、フィードバックを与え合うプロセスを指すが、特に金額的影響を定量化できるリスク項目(定量的リスク情報)における検討の質を大幅に改善させ、デュー・ディリジェンスに係わる依頼者の負荷を劇的に軽減させることにつながるものである。「すりあわせプロセス」が効果的に実施されることにより、プレ・ディール段階における社内外のステークホルダーとのコンセンサス作りや、ポスト・ディール段階における施策導入に向けた準備、買収後のモニタリング・ルールの整備といった、デュー・ディリジェンスの依頼者が本来注力すべき課題に、更なる力を注ぐことができるようになるだろう。
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