一 そもそも会計学とは 会計史学者のウルフは、会計と商業(経済)の関係について次のように述べている。 「……文明は商業の親であり、会計は商業の子供である。したがって、会計は文明の孫に相当することになる。これは、会計の歴史の研究が極めて興味深く、かつ貴重となる理由である。……まことに会計は時代の鏡であって、このなかに、われわれは国民の商業史および社会状態に多くの反映を見る。」ウルフによるこの記述は抽象的描写ではあるが、会計の本質を見抜いた表現でまことに含蓄がある。 また、会計史学者のA・C・リトルトンは、会計学固有の「核」となる概念とは、はたして何なのかに対して『会計理論の構造』という彼の書物の中で次のように問いかける。