[M&A戦略と法務]
2011年9月号 203号
(2011/08/15)
はじめに
本年5月25日に公布された「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第49号。以下「改正法」といい、金融商品取引法を「金商法」という)では、英文開示の範囲拡大を定めている(注1)。この改正についての施行日は、公布後1年以内とのことであるが、金融庁が平成22年12月24日に公表した「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」や、平成23年1月19日に公表した「金融庁・開示制度ワーキング・グループ報告」を受けての成果であり、英文開示の対象となる開示書類の範囲を有価証券届出書等に拡大し、外国会社等による英文開示の範囲を有価証券届出書等および臨時報告書に拡大している(金商法5条6~9項、24条の5ほか)。改正法における英文開示制度の拡充は、外国会社等の本邦市場に上場し易い環境を整備し、日本の投資家の資産運用対象を拡大することを目的としているが、結果として、海外の市場では上場しているが日本では上場していない外国会社にとっては、日本の投資家に対して自社の株式又は自社の株式に転換できる転換社債を利用したM&Aに際して必要とされる有価証券届出書の提出や目論見書の交付について従前との対比で簡素化されることから、そうしたM&Aを仕掛け易くなる効果がもたらされる。そこで、改正法上の英文開示の範囲拡大について概観し、それがM&Aに与える影響について考察する。
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