「微細藻類ユーグレナ」に着目して起業、キューサイの買収で売上高拡大 ユーグレナは2005年に設立された。代表取締役社長である出雲充氏が、東京大学1年生の夏休みに訪れたバングラデシュで栄養失調に苦しむバングラデシュの人々を目の当たりにし、その解決に役立つ食材として「微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)」に着目して起業。食用のミドリムシの屋外大量培養を世界で初めて成功させた。2012年に東証マザーズに上場し、2014年には東証一部(現プライム)へ市場変更している。
M&Aにも積極的で、その数はこれまでに10社を超える。なかでも、2021年にはアドバンテッジパートナーズ、東京センチュリーと組んで、「青汁」で知られる健康食品通販のキューサイをコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスから約420億円とみられる額で買収して注目された。
キューサイの2019年12月期売上高は249億円で、ユーグレナの2020年9月期売上高133億円の約2倍にのぼり、この買収でユーグレナの連結売上高は大きく増えた。これを機にヘルスケア事業を拡大、さらに2022年12月にはマレーシア国営エネルギー企業ペトロナスとイタリアの総合エネルギー企業エニと共同でバイオ燃料の商業プラントをマレーシアに建設する計画を発表。最近は肥料などのアグリテック事業にも進出している。
2023年12月期の売上高は前年同期比4.7%増の464億8300万円。営業損失は14億6500万円。純損失は26億5300万円の赤字だったが、2025年には営業利益の連結黒字化を目指すという。また、ヘルスケア事業では2026年までに売上高500億円、2030年には600億円、
EBITDAマージンは15%以上を目指すとの中期目標を掲げている。
ユーグレナは、2024年1月から、最高財務責任者(CFiO)だった若原智広氏と最高ステークホルダー責任者(CSXO)だった植村弘子氏の2人が代表執行役員Co-CEOを務める経営体制となった。長年同社の経営、財務戦略に携わってきた若原氏に、ユーグレナのM&A・
PMI戦略を聞いた。
<インタビュー>
成長のステップに応じたM&A戦略とPMI
若原 智広(ユーグレナ 取締役代表執行役員 Co-CEO 兼 CFiO)
- <目次>
- 2023年12月期決算のポイント
- PDCAサイクルをしっかりと回し、投資効果の向上を図る
- ユーグレナのM&A戦略
- PMIのポイント
- キューサイ買収の背景
- ユーグレナの中長期的な成長戦略とM&A
2023年12月期決算のポイント
―― 2023年12月期決算のポイントについてお聞かせください。