カーライル・グループは、傘下のTTCホールディングスを通じて2022年11月~12月にかけて東証スタンダード市場に上場していた東京特殊電線に対して
TOBを実施(買収額約380億円)。その後、2023年4月1日付でTTCと合併して社名を「TOTOKU(トウトク)」に変更した。TOBでは、156%というプレミアムが破格の水準ではないかと話題になった。
東京特殊電線は1940年に設立され、2012年には古河電工の連結子会社になった。社名の通り、当初は抵抗線や諸電線の製造を行っていたが、近年は、長年培ってきた素材加工技術をベースに、IT機器向け配線材のほか半導体検査機器用の極細合金線、自動車向けシート用ヒータ線等に注力。自動車向けシート用ヒータ線では世界シェア4割を占める等、収益力の高いニッチな分野で存在感を発揮している。なお、2022年3月期の売上高は約209億円、純利益は約23億円となっている。
新たなスタートを切ったTOTOKUの買収経緯と、今後の成長戦略について、TOTOKUの牧謙・代表取締役社長とカーライル・ジャパンの西澤利彦・マネージング ディレクターに聞いた。
<インタビュー>
新たな経営体制の下、高い技術力を武器にグローバル市場を攻める
牧 謙(TOTOKU 代表取締役社長)
西澤 利彦(カーライル・ジャパン・エルエルシー マネージング ディレクター)
- <目次>
- 2023年4月1日、新生「TOTOKU」がスタート
- 構造改革で事業の“選択と集中”を断行
- 156%の高いプレミアムを乗せた経緯
- 新経営陣の顔ぶれ
- 今後の市場環境とグローバル経営の強化
- さらなる成長を目指す
- インオーガニックの成長を目指すM&Aも
- 人づくり、売上高を拡大し、いずれはIPOも視野に
2023年4月1日、新生「TOTOKU」がスタート
―― カーライル・グループは、傘下のTTCホールディングスを通じて2022年11月~12月にかけて東証スタンダード市場に上場していた東京特殊電線に対してTOBを実施。その後、2023年4月1日付でTTCと合併して社名を「TOTOKU」に変更しました。TOTOKU買収の経緯についてお聞かせください。