アドバンテッジパートナーズ・グループで上場企業成長支援プライベート投資を担当
2020年1月には大手リース会社の東京センチュリーがAPの発行済み株式の14.9%を取得して戦略的提携関係を構築、さらに2021年12月17日には国内のPEファンド運営会社として初めて
SPAC(Special Purpose Acquisition Company=特別買収目的会社)の「APアクイジション」をニューヨーク株式市場に上場するなど、投資手法の多様化にも積極的に取り組んでいる。APグループは新たに、再生可能エネルギー・サステナビリティ投資戦略チームを発足させて、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)を念頭に置いた投資活動を本格化させているが、このSPAC上場もその一環だ。ちなみに、東京センチュリーはAPの戦略的パートナーとして、本SPACに対して2000万US$を投資している。
APグループでは、大きく分けると、日本の中堅企業を対象としたバイアウトファンド、アジアの中堅企業を対象としたバイアウトファンドのほかに、
マイノリティ投資を通して上場企業の成長支援を行う上場企業成長支援プライベート投資ファンドという3つの投資戦略のファンド運営を行っている。
通常、PEファンドは投資先企業が発行する株式の
マジョリティを獲得して経営改善や再生を行った上で売却する。これに対して、上場企業へのマイノリティ投資を専門とし、上場企業の中でも、さらなる成長に向けた資金ニーズを持つ企業を探し出して投資を実行して、経営トップへの支援を行うことで株式の評価額を高めた上で
エグジットするという投資戦略(上場企業成長支援プライベート投資)を担当しているのがAPのグループ会社「アドバンテッジアドバイザーズ(AA)」である。
本レポートでは、このAAの設立経緯、ビジネスモデルについてAAの取締役 パートナーである古川徳厚氏に聞いた。
<インタビュー>
30社を超える投資を実行、3号ファンド(AA成長支援ファンド)のファイナルクローズに向けて
古川 徳厚(アドバンテッジアドバイザーズ 取締役 パートナー)
2007年に設立した背景
-- アドバンテッジアドバイザーズ(AA)設立の経緯について聞かせてください。
「AA立ち上げのきっかけは2つあります。1点目は1997年にアドバンテッジパートナーズ(AP)がバイアウトファンドとしてスタートし、活動を続けてきた中で、バイアウト3号ファンドでダイエー(2005年)とニッセン(2007年)に対して、上場維持型でのマイノリティ出資を行い、経営変革の経験と実績を得られたことです。2点目はM&Aや海外展開による非連続成長、マーケティング改善やコスト削減など戦略転換を必要としている上場企業から、APと組みたいと言っていただく機会が多くあったことにあります。しかしその一方で、上場企業については、知名度や資金調達等の観点から上場維持ニーズが強くあって、非公開化や
MBOの実行に至らないケースも多くありました。
そのため、上場を維持したまま、我々が企業の株式を取得して経営者と一体となって経営をサポートしていくニーズがあると考えるようになったことが背景としてあります。このような経緯から、2007年10月に正式にAAを立ち上げ、2008年5月にInfleXion1号ファンド、2018年1月にInfleXion2号ファンドを設立しました(InfleXionとは変曲点といった意味)。私は2010年にAAに参画しています。現在は、NTTドコモ、あおぞら銀行からの兼職者を含めた19人のバイアウトとは別チームで案件に取り組んでおり、既に投資先は30社を超えています。
その後、2019年12月には実質的な3号ファンドとして、『AA成長支援ファンド』というより取り組みたい内容が伝わる名称に変えて立ち上げました。こちらは現在6社に投資していますが、InfleXion2号ファンドと協調で投資している案件も一部あります。AA成長支援ファンドはまだファンドレイズ中で、足元450億円の規模になっていますが、2022年4月にファイナルクローズする予定です」(下図参照)
LPは国内7、海外3の割合
-- LPはどのような顔ぶれですか。